ミドルフェイズ

■ミドル1

 日が落ちた宵の入り。支部で話を聞くシーン。

 支部の中は薄暗く、会議室では桜田支部長が1人で資料を準備している。

 桜田支部長は清楚な雰囲気の女子高生だが、今は相当疲れているらしく、目の下にはクマがあり、目の焦点が合っていない。


桜田「よく来てくれましたPC1君。協力、感謝します。早速ですが、オーヴァード連続殺傷事件と、その実行犯について、まずは連続殺傷事件のことをお話しましょう」


●オーヴァード連続殺傷事件

 桜田が受け持っているN市支部に所属するエージェント、イリーガルが4人殺されており、1人は意識不明の重体になっている。

 いずれも実力者だったが、発見時の状況から、まるで歯が立たなかったと見られている。

 UGNと無関係な人物に被害がないため、UGNに恨みを持つ者の犯行、あるいはFHによる攻撃と考えられている。


桜田「実行犯については、これまでイマイチ犯人像を掴めずにいましたが、伊達君の話を聞いてわかりました」


 と、資料を机に並べる。ぶれた道化師の仮面の人物の写真と、ニヤニヤと笑う長髪の中年男が映っている。


桜田「オーヴァード連続殺傷事件の実行犯は、この長髪の男、マスカレードというコードネームで呼ばれるFHエージェントで間違いありません」


●マスカレード

 常に仮面の人物を引きつれ、二人一組で行動するFHエージェント。3か月前にUGNと交戦し、敗北。その時、仮面の人物は僧服を着ておりビショップと呼ばれていた。ビショップらしき人物は死亡が確認されている。

 マスカレードは重傷を負ったものの行方をくらませていたが、つい最近、N市に入った事が確認されている。


桜田「あなたがたに、マスカレードの撃破と、未知のエージェント、クラウンの調査を――」


 ここで意識不明だったはずのエージェント、藤井徹が登場。

 藤井徹は陸上アスリートのような体格のエージェント、シンドロームはキュマイラ/ハヌマーン。速さと重さを兼ね備えた拳で戦う伊達男。コードネームは餓狼。


桜田「藤井さん! 病院を抜け出してきたんですか!? あなたは歩けるような体じゃ――」


藤井「こんな時に寝てもいられませんよ。奴と戦って生きてるのは、俺だけなんだ」


 とは言いながらも、顔色は良くないし汗まみれ。がくりと膝をつく。


桜田「ああ、もう! 仮眠室のベッドに運びます。手伝ってください!」


 ここでシーンを切る。


■ミドル2

 ベッドに寝かされた藤井からクラウンについて聞くシーン。次の情報を示す。


1:道化師の仮面ときらびやかな衣装を身につけたオーヴァード。電光石火の素早さでラッシュをかけ、瞬く間に敵を打ち倒す。


2:FHがこれまで使わずにいたとは思えないほど高い戦闘能力を有しているが、記録が存在しない。マスカレードの周辺にも該当しそうな人物がいない事から、ごく最近覚醒したのではないかと思われる。


3:いつでも殺せたはずだが、手加減とは違う躊躇いのようなものが感じられた。


藤井「あのピエロは、とんでもない奴だった。正直、致命傷を避けるだけで精一杯だった」


藤井「しかし、あんなとんでもない奴がいたなら、FHは出し惜しみなんかしなかったはずだ。俺たちUGNだって見逃さなかっただろう。それが噂レベルのデータさえ出てこない。俺は、あいつは最近覚醒したんじゃないかと考えている。

 例えば、おおよそ1か月前、マスカレードはあいつを見つけたからN市に戻ってきたとは考えられないか?」


藤井「それだけじゃない。その気になれば、奴は俺を殺せたはずだ。それでも俺が生きているのは、奴が最後に躊躇ためらったからだ」


藤井「うちの腕利きを4人も一方的に殺しているのに躊躇うなんて、何かおかしいと思わないか?」


藤井「それと、あれは女だな。匂いでわかる」


 説明し終えたら警備システムが敵の接近を感知し、警報が鳴る。


桜田「敵襲!? こんな時に! PC1君、伊達君、今敵の侵入を許す事はできません! 迎撃に向かってください!」


 迎撃に向かったらシーン終了。


■ミドル3

 迎撃するシーン。マスカレードとクラウンが正面玄関からやってくる。


 マスカレードはUGNとの戦いで重傷を負っている。目的などを聞かれたら、カポッと顔を外す。これまで顔に見えていたのは、精巧な仮面。


マスカレ「ハロー、UGN。今死に損ないがこっちに来たと思うんだが?」


マスカレ「ククッ、1人ずつじっくりと叩き潰してやろうと思っていたが、貴様らのようなガキまで引っ張り出されるとは、この支部に戦える奴はもういないと見た。これは楽勝かな?」


マスカレ(仮面を外して)「見ろ、この醜い顔を。貴様らの血でこの傷の痛みと膿を洗い流してやる!」


マスカレ(仮面を戻しつつ)「行け、クラウン! 奴らを殺せ!」


 クラウンが跳躍して襲い掛かってくる。伊達が射撃で止めようとするが当たらない。

 すり抜けてPC1に肉薄し、電光石火の一撃! しかし、攻撃の瞬間に動きが鈍る!


 カウンターのチャンスと説明し、ここで〈PCが攻撃に使用する技能〉で難易度20の判定を要求する。エフェクト使用可。

 成功した場合、クラウンの攻撃よりも先にカウンターパンチが通る。失敗した場合、3D10+15の装甲無視ダメージを受け、カウンターパンチが通る。

 すると、道化師の仮面が落ちて顔が見える。仮面の下にはうつろな目をした鳴海の顔がある。それがハッと意志を取り戻したかと思うと、手で顔を隠し、電光石火のスピードで逃げる。


マスカレ「どうしたクラウン、おい! チッ、ウィザード、クロウ! 奴らの相手をしておけ!」


マスカレ「今日のところはここまでにしておいてやるッ!」(瞬間退場)


 老翁の仮面を着けたローブの人物と、キラキラ光るマスクを着けたカラスの群れが現れ、カラスの群れは上空を旋回する。

 戦闘開始、4mの位置にクロウ、8mの位置にウィザード。

 まず伊達の射撃でクロウは落ちる。2丁拳銃の連射を浴びせて仮面を叩き割り、頭を吹っ飛ばす。所詮脇役なので、この辺は簡潔に演出して終わる。


 ここまでイベントなので、クロウのデータは不要。行動も伊達からとなる。

 万一、PC1が《スピードフォース》のような、イニシアチブで行動するタイプのエフェクトを使って突っ込んできたら、さすがに伊達を動かすわけにもいかないので、HP15、装甲値0、回避の達成値は16で固定として扱う。

 伊達に「出し惜しみのない奴だ」とか言わせておく。


●ウィザード

クロスブリード:ハヌマーン/サラマンダー

【肉体】3【感覚】3【精神】6【社会】2

〈RC〉4

HP:32 行動値:10 侵蝕率:100%

装甲値:3(強化服+ハードコート)行動値修正済み

【エフェクト】(侵蝕率ボーナス適用済み)

《プラズマカノン》2(R1:161)

《振動球》2(R1:135)

《イベイジョン》1(R1:328)

▽戦闘プラン

 全て組み合わせて灼熱の火の玉で攻撃する。《コンセントレイト》が無いことに注意してほしい。回避の達成値は12で固定。


●伊達の行動

 伊達は永久にカラスの相手をする。補充しては撃墜させる。

 よほどの事がない限り、伊達にウィザードは攻撃させない。PC1のデータが尖りすぎな場合(まさかの支援型とか、%制限だらけで侵蝕率が80を超えるまで役に立たないとか)は、閃光の双弾のデータを使用して判定を行う。


 戦闘終了後、割れた仮面が落ちている事を示唆。PC1が触れない場合は伊達から破片に接触。

 PC1の反応次第でいろいろ伊達を動かす。

 例えば、ヒロインとわかったら追いかけたくなるのがPC1のサガだと思う。飛び出して行って全然構わない。行かないなら頼んで調査に行ってもらう。

 伊達は仮面の破片を分析にかける。支部を守る人員も必要だと言って別れる。

 探しに行ったらシーン終了。


■ミドル4

 鳴海を追いかけるシーン。


●鳴海向日葵の居場所〈情報:噂話〉難易度9

▽判定に成功した場合

 公園の方に走って行ったという目撃情報がある。幸いここからすぐ近くだ。

 シーンは切らずに公園に場面転換。

 クラウンの衣装のまま、鳴海は公園の薄暗がりに立ち尽くし、泣いている。


鳴海「あっ……」


 会話の流れが読めない。出すべき情報は次の通り。


1:鳴海は1か月ほど前、歩道に突っ込んできたトラックにはねられて1度死に、オーヴァードとして蘇った。


2:マスカレードは死のショックと、レネゲイドがもたらす衝動に戸惑う彼女に「人間でいさせてやる」と偽って仮面を被せた。仮面は勝手に顔に張り付く。するとその間、記憶が飛ぶ。


3:ついさっき、仮面が割れて、自分が何をしていたのか気付いた。マスカレードに見つかれば、また操り人形にされてしまう。PC1達を傷つけたくない。


鳴海「どうして、なんで来たんだ! 私が何をしていたか、知らないわけじゃないだろう! さっきだって、君の事を殺そうとしたんだぞ!」


鳴海「い、1か月ほど前、私は……私は死んだ!」


鳴海「歩道にトラックが飛び込んできて、ぺしゃんこになったんだ。そこで本当に死んでいたら、私は何も感じなかっただろう。でも、ひどい痛みがして、潰れた体が元に戻り始めた……頭がおかしくなりそうだった!」


鳴海「いや、もうおかしくなっているのかもしれない。今だって、君の血が欲しくてたまらない!」


鳴海「ダメだ、ダメなんだ。私が着けていた仮面があっただろう。私が人間でいるには、あれが必要だとあの男は言った」


鳴海「仮面は前にも割れた事がある。その時、私はあの仮面がどんな物なのか知った」


鳴海「あれは、いつの間にか私の顔に張り付いているんだ! 捨てても、割っても!」


 会話が一区切りついたらマスカレード登場。マスカレードは有無を言わせず、鳴海に道化師の仮面を被せる。よろめいた後、鳴海はクラウンになってしまう。


マスカレ「恩人のこの俺を置いて逃げるとは良い度胸だ。今日まで人間のフリができたのは誰のおかげだ? あぁ? この恩知らずが!」(蹴飛ばす)


マスカレ「今回は完全に支配してある。少々スペックは落ちるが、勝手な行動をするようでは、道具として使い物にならないだろう」


(PC1の方を見て)「UGN、少々貴様らの力を見くびっていたようだ。廃ビル群近くにある青い屋根の倉庫で待っていてやる。あのチルドレンと2人ですぐに来い。来なかったら……ククッ」


マスカレ「この町の人間を殺し回るのも一興だなあ? 殺人パレードだ! 全部終わった後のこいつの顔が楽しみだ!」


 マスカレードは高笑いして去る。

 シーンを切り、クライマックスフェイズへ移行する。


▽判定に失敗した場合

 鳴海からPC1に電話が入る。居場所を聞いても下記の通りで答えない。


鳴海「時間が無いの、黙って聞いて!」


 この後マスカレードに見つかって悲鳴。


(ちょっと遠い声)マスカレ「恩人のこの俺を置いて逃げるとは良い度胸だ。今日まで人間のフリができたのは誰のおかげだ? あぁ? この恩知らずが! ……チッ、少々スペックが落ちるが支配を強めるべきか……」


マスカレ「UGN、聞いてるんだろう。少々貴様らの力を見くびっていたようだ。日を改めて、叩き潰しに行ってやる」(電話が切れる)


 伊達から電話で一旦支部に戻るよう指示。

 無視して探そうとする場合、独力ではどうにもならない。支部長達の力を借りた方が早い。鳴海を助けたいなら一旦戻るべきとかなんとか言って説得。

 シーンを切り、ミドル5へ移行する。


■ミドル5

 支部長から次の情報を得る。


1:鳴海向日葵は1か月ほど前、歩道に突っ込んできたトラックにはねられて1度死に、オーヴァードとして蘇った。


2:あの仮面は、レネゲイドの力を利用して作られており、被った人間と融合する機能と、オルクスのエフェクトを強化する機能を持っている。


3:鳴海向日葵は覚醒直後の不安定な時期をマスカレードに狙われ、操られているものと思われるが、洗脳されて根っからのFHエージェントになってしまっている可能性も否定できない。


4:監視網が廃ビル群にマスカレードが入っていくのをとらえた。


桜田「奴が潜伏していそうなエリアに目星をつけておきました。この地図を持って行ってください」


 シーンを切り、ミドル6へ移行する。


■ミドル6

 廃ビル群をあっちこっち駆けずり回るシーン。支部長がくれた地図を頼りに探すべし。

 難易度8で【肉体】〈知覚〉〈情報:噂話〉の判定。成功するまで侵蝕率を上げながら繰り返す。

 成功したらシーンを切り、クライマックスフェイズへ移行する。

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