その三十 日記 十二月二十四日
今日は真仁くんとデート♡した。デートのつもりじゃあなかったけど、あれはデートだったよね。喫茶店で駄弁って、映画見て、食事して、映画の論評して、いつもとやってる事は違わなかったけど、クリスマスで賑わう街では気分も盛り上がる。だ・か・ら・あれはデートだ、うん。
自分がクリスマスデートするなんて思っても見なかった。そういう事には関心がなかったからなぁ。でも、実際にやってみると楽しかった。相手が彼だからと言うのもあるし……
考えてみると、ハロウィンで衣裳を工夫する事を覚えた。わたしがいつもと違う格好をすると真仁くんが変な反応をするので面白い。ハロウィンの仮装ではなんだか、胸の辺りとかブーツとスカートの隙間とかばっかりじろじろ見るんだもん。睨んでやったらすごく
記念撮影では
試しに、今日はポニテを下ろしてコンタクトにしてみた。真仁くん、わたしを見て最初知らない人に会った時のような顔をするんだもん。ぷんぷん。でも、すぐにいつものように褒めてくれた。真仁くんは私の事よく見てるよねー。それは何だか嬉しい。
それはそうと、ハロウィンの時の堤野さんのひと言はちょっとショックだった。『わたし東雲くんの事が好きよ。この間告白したわ』なんて突然言うんだもん
真仁くん堤野さんの事振ったのかなぁ。振ったらギクシャクしそうなものだけど。あ、そうか、わたしと真仁くんのケースがあるから、なかった事にして友達のままでいるのかな? 真仁くんはそんなことしそうにない。夏休み前の上級生の告白は断っていたし…… 今なら人の気持ちが少し判る。今思うとわたし真仁くんに酷い事してたんだ。あー、気になる。
やっぱり、堤野さんの事は苦手だ。
でもなー、今日は油断した。クリスマスプレゼントなんて用意してくるなんて。喜んでいたら、私に告白してきそうになるんだもん。
とりあえず、逃げ出すしかなかった。わたしは従兄に言われた事で悩んでいる。わたしがやりたい事。
半年前は意識してなかった。単純に面白いと思える事をしたかっただけ。お母さんの昔の話を聞いて、お父さんとの出会いと別れ、わたしを身ごもりやりたかった事を諦めた事を知った。
わたしは博物学の道を目指したい。お母さんの夢、だったからだけじゃない。わたしは博物学のどきどきが好き。クラブで真仁くん達に説明して、質問されて、より強く思うようになった。だから、日本でも博物学の勉強はできけど、提案を受けて留学するべきなんだ。きっと環境が全然違う。
だけど、真仁くんと別れる(まだ付き合ってもないのにね)決心がつかない。
わたしは真仁くんの事が好きらしい。自覚できるまでに随分と掛かった。こころの中のもやもやがまとわりついて、どうしたら良いか途方に暮れている。まだ、お付合いもしていないのに別れる恐怖で動けないでいる。
どうしたらいいだろう。だれか相談する人……
いない、いつもなら真仁くんに相談するのにこの事は、彼には相談でない。
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