105配信 ただの村娘ですよ……いえ、でした。

  


 あの日も私は妹の面倒を母さんの代わりにしてました

 いつも通り怪我しないよう目を配り昼寝をさせたり散歩に連れて行ったりして時間を過ごしていました。

 ………あんなことが起きるなんて思いもしていなかったんです。


――――――――――


 今日は雨ですか

 起き抜けに雨音が地面にぶつかる音が私の耳にとどきます

 平穏の音は安心を運んでくれる、すっごくすてき名のことだと思います

 なんの能力も持たない私には平穏がお似合いなんです

 確か今日は異世界からマレビト様をお呼びになるとお母さんが言っていました

 どんな方なんでしょうか?

 貴族のような高貴な方かな?それとも私たちみたいになんの力も持っていない方?

 まぁこんな都から離れた村にいたら会うことも無いと思うので考えても無駄ですね

 気持ちを切り替えよ!

 そろそろ準備しないと妹がぐずり出しちゃうから―――っと。

 今日は蒸したジャガイモです、といいますか今日も蒸したジャガイモです

 育てる期間、育てる条件ともに好条件なので優秀なタベモノデスヨネー

 妹は飽きたといっていましたが仕方ないことなんです、我慢してくださいとしか言えません。

 そういえば、今思い出したのですが異世界からマレビト様を呼ぶついでに各地で若者のステータスを確認すると教会の偉い人が発表したらしいです。お母さんが言ってました

 私も妹もその恩恵にあずかるのですが普通でいいんです

 私は今の環境を結構気に入ってます、朝起きて選択してご飯の準備もして妹が目を覚ましたら少し冷ましたらご飯を食卓に出すそして少し身体を動かして妹を寝かせる、妹が昼寝に移行したら私は掃除や食器を洗ったり洗濯物を取り込んだりして妹が起きる。起きてきたら少しお勉強として物語を語ってあげる、少ししたらご飯の準備してお母さんが帰ってきたら3人でご飯を食べる。その後、妹の身体を拭いてあげて寝かせる。ソレがが終わったら私も身体を拭いて眠る。平凡で普通で代わり映えのない生活。

 

「おねぇちゃん!おいもやだぁー!」


 妹が食卓に出したジャガイモを嫌がってしまいました

 こんな時は好き嫌いするとこの前話した物語の悪い人がやってきてしまうといいましょう、ソレが1番はやくわがままを止める方法です


「好き嫌いしてるとワールさんが悪い子を連れ去ってしまうよ~」


 妹はそれでもジャガイモに手を着けません

 コレではダメだったのかな?


「おねぇちゃん、ワールさんは自分の村のために盗みをする人だよ。だからわたしのところにはこないんだよ」


 妹はどうやら頭が良いのかもしれません

 話をよく理解してる。まだ5歳ですよね?

 まぁ頭の良さはもっと前から分かっていたのですが

 一般悪を論理と感情を使い分け理解している、頭が良いとしか言い表せませんね

 きっと妹は賢者様のようなスキルを持っているのかもしれません。

 もしスキルが無いにしてもINTが高いに違いありません

 EDUはこれから伸ばせば良いのです。まぁ私にこれ以上はできないと思うのですが……、私にできるのはお世話くらいです

 

「ではおねぇちゃんが悪い子にお仕置きしましょう」


「……おしおき?」


「えぇ、お仕置きです。この雨の中井戸からお水を何回も汲みに行かせるお仕置きです」


 妹はすぐさまジャガイモに向き合いました

 どうやら効果てきめんのようですね


 コンコン


 どうやらお呼びのようです

 小さな村なので教会も無いのできっと家を一軒一軒神官様がステータス確認してくれているのでしょう

 私は手に持っていた布巾を机においてお出迎えに行きます


「はいはーい、いまいきます」


 扉を開けそこにいる人物を見ると神官様でした

 きっと私たちの番なのでしょう


「こんにちは神官様、わざわざお越しくださってありがとうございます」


 社交辞令です

 私は敬語とかよく分からないので物語に出てくるメイドさんのマネをしてみます


「おやおや、コレはコレはこちらこそ歓迎ありがとうございます」


 そうやら好意的に感じてくれたのでしょう

 妹もこちらに気が付いたのか走ってきました

 って口にジャガイモ含んで走ってきてます


「モグモグモグ」


 そして口を閉じて咀嚼しています

 恥ずかしい、リスみたいにお口をぱんぱんにして

 お水がないと喉がつっかえますよ


「すいません神官様、お見苦しいモノをお見せしてしまって……」


「いえいえ、気にしてませんので」


 神官様は優しいですね

 きっと信仰心の高い方は心も優しいのですね


「そろそろはじめましょうか。」


 神官様の合図で私と妹のステータスが開示されます

 神官様が右手を前に出すと目をかっぴらきます

 

「………。」


 顎に手を当てていますね

 私たちには何も見えていないので分からないのですがどうしたのでしょうか?


「どうかなさいましたか?」


 神官様は少し焦ったようにしながら私たちの方を見ます


「メアリ・ジェーンさん、メイリ・ジェーンさん。お2人はどうやら希少スキルと希少な職の持ち主であることが分かりました。メアリ・ジェーンさん貴女は治癒と信頼の最上位スキルさらにシスターの職をメイリ・ジェーンさん貴女は思考加速と成長のスキルさらに学者の職であることが分かりました」


 治癒と信頼?

 たしかスキルは1つあれば良い方だと聞いています

 それにシスターとは確か教会につとめてる女性では無かったですか?それが希少な職?なのですか?

 

「どうやら実感がないようなのでお話ししておきます、職とは本来ステータスの欄では空欄なのです、ソレが普通なのですが1万人くらいに1人で職の欄に村人と記載されてるのですソレがお二人の欄にはシスターと学者こんな奇跡としか言えない出会い目が飛び出るかと思いましたよ」


 なる、ほど?

 私がシスターであるとステータスが言っているのですか

 そして妹が学者

 他の方は空欄もしくは村人

 ハハハ、知られたら騒ぎになりそうですね。

 嫌だなぁ、平穏が私の普通が崩れ去る……


「お手数をかけるのですが保護者の方と一緒でかまいませんので都の教会に来ていただけませんか?というか来てください!でないと私が干されてしまう!よろしくお願いします」


 そう言ってなにかの紙を残して次の家に行ってしまいました

 妹の方を見ると先ほどの神官様のように顎に手を当てて考え事でしょうか


「おねぇちゃん。お母さんよびにいかないとだね」


 この話も理解していたようですね

 本当にうちの妹は頭が良い

 妹は紙を拾い上げました、これまた空いてる手で顎に手をやってます


「すてーたすのないようだって」


 見たくありませんね

 はぁ……


――――――――――


「皆さんこんにちは。ただの村娘です……」


・初めましてシスター

・村娘?のんのんシスターです

・シスターだね

・間違えてますよシスターですよね

・衣装もシスターだしな


「うぅ、コレは仕方が無かったんでっす!私がまじめに昔話を別世界の制作スタッフに話したら……こうなってしまったんです。私は誠実に話しただけなんです」


・凝り性だから別世界は

・OPアニメすごかったね物語の始まりだね

・ん?誠実に昔話を?

・つまり昔シスターだった?

・今もシスターであるかも


「……シスター時代は、辛かったです。あの神官は許しません慈悲はなし、神は私を許します、というか許してくれなかったら神すら殴ります」


・落ち着いて

・餅ついて

・餅食べて

・喉つっかえちゃったの?

・暗証番号言える?


「私は餅食べていませんから。まぁ語察しの方もいると思うのですが、あのOPアニメ私の実体験です。私はいわゆる逆転移者ですね」


・逆転移者!

・逆異世界転生か

・え、じゃあ魔法とか使えるの?

・てか聖女とかじゃないのね

・妹ちゃんはどうしたの?


「質問が来ていますが初配信なので少し私の話をしますね。私の名前はメアリ・ジェーン私の好きなモノは平穏です。前の世界ではシスターをしていました、教会は一度滅んでほしいですね、失礼口から本音が。母と妹と村暮らし推していましたが急に都暮らしになりそこで働いていましたが母が……まぁいなくなってしまい妹と二人暮らしになってしまいまぁなんやかんやあって妹と二人でこちらに転移してしまいました」


・結構説明省いたな

・今何歳?

・妹ちゃんとこっちにきたんだ

・お母さん何があったんだ

・メアリさん妹さんを俺にください


「ソレではやることはやったので質問に答えましょうか。先ほど来ていた質問で魔法は使えるのかというのがありましたね、使えますよ。向こうでは四肢がなくなった患者も私の治癒で直して見せました。こちらでも同じ出力で魔法は使えたので四肢が欠損してようとも直せるでしょうね」


・四肢欠損治せるのか

・正気度高そうだな

・向こうでも黒メインのシスター服だったの?

・魔力…

・日本に降り立ったのか?


「えっと、私は聖女ではないですね。聖女は王国とか帝国の1番偉い人が癒やしの使い手の女性に任命するモノで私は教会のシスターだったのでソレとコレとは別ですね。」


・じゃあ聖女って何人もいる感じなんだ

・職業欄があいてるのが普通だったから任命できるみたいな?

・シスターは未来永劫シスターと

・聖女(w)にもなり得るんだ

・シスターで辛かったことはなーに?


「コメントで見つけたのですが女性に年齢を聞くのはマナー違反ですよ。私は27です」


・マナー違反してしまったごめんなさい。

・ちゃんと言うんだ

・誠実って言ってたもんな

・偉い

・OPアニメ当時の年齢は言ってなかったな


「それから私の妹は誰にもあげません。服はこの衣装と一緒ですね。それから、日本の田舎に降り立ちましたよ。そこで1年ほど学ばせてもらって現在に至ります」


・ホへぇー

・衣装そのまんまなんだ

・おれ今から田舎に引っ越してくる!

・田舎のバーちゃんちに引っ越すわ!

・引っ越す金ねぇや


「あぁ言ってませんでしたね、アニメの頃の年齢は8歳ですよ」


・!?

・妹ちゃんが賢いじゃなくて、妹ちゃんも賢いだったな

・妹馬鹿かな?

・妹のことしか考えて無くて自分のことに驚けなくなった感じかな?

・つまりシスター歴17年か?


「妹と暮らしてますよ。今は図書館に出かけてますね」


・ちょっくら図書館行ってくる!

・図書館に出かけてくるわ

・本帰しにか無きゃ(借りてる本など無い)

・本読みたい気分だな

・1人で行かせたの?


「うちの妹は体力と知識があるので暴漢くらいなら逃げ切れますよ。私の自慢の妹なので」


・妹ちゃんつよつよ?

・戦うじゃなくて逃げるんだ

・自慢の妹

・妹馬鹿だな

・めっちゃ楽しそうに話すやん惚れたわ


「戦うより逃げる事、ソレが柵のない村での教えなので。」


・そっか柵もない村だったのか

・そりゃ逃げるが勝ちか

・動物からとにかく逃げるのか

・夜盗がいたかも

・まぁそれなら戦うより逃げだな


「まぁ都に行って数年たった頃に妹を森において訓練させたので暴漢くらいなら大丈夫ですよ。」


・あれ?

・もしかしてスパルタ?

・もしかして今期の別世界スパルタ多め?

・てか妹ちゃん生きて帰れたんだね

・妹ちゃん…


「妹が怪我したら夜中に治癒してたのでまぁ生き延びれてましたね。さすがに私も鬼ではないので死にそうだったら助けようと考えてましたよ」


・どのくらい森にいたんだろ

・一晩は森の中にいたのか

・てか装備は?

・食料は?

・一人?


「え?夜中に単身でほっぽったので1ヶ月くらいさまよってましたね」


・スパルタだぁ

・靴もなし?

・なんてこった

・「おねぇちゃん嫌い」とか言われなかった?

・酷すぎる


「妹は優しい子なので私のこと嫌いなんて言いませんよ。ソレと寝てるときは靴なんて履きませんよね?」


・鬼がおられるぞぉ

・シスターじゃなくて鬼だったか

・鬼は鬼でも悪鬼だな

・邪悪な鬼だ

・靴なしとか足裏死ぬやん


 


――――――――――


 別世界所属の尾田蒔、布津、白木に続きメアリ・ジェーンでした。残り一人(同期)

 

 メアリ・ジェーンがすきだよーって人は挙手

 妹がかわいそうだよーって人は……「がんばれ妹」って言ってあげよう!


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