54話 卓球やろうぜ!

  54話


 食事までまだ少し時間があるというので軽く運動することになった一行はレトロなゲーム機が数台と卓球台が置かれたスペースにやってきた

 卓球台に早速目をつけた金色力が零に声をかける


「なぁ、オイラと卓球で勝負しよーぜ!」


 目が覚めたばかりの金色力とこちらもまた目が覚めたばかりの零

 零は皆に心配の目を向けられているが……


「力君、あまり零君をこまらせてはイケないよ」


 音坂こがねが零を気遣うように注意する、と言うのも金色力が行き当たりばったりでよく体力が切れて倒れるというのが広まっているのだ。そのためこのような扱いを受けているのだ

 音坂こがねの注意を全く聞いている様子は無い金色力、ラケットを零に持たせ構えを取る。

「さぁ、やろうぜ!」


 勝負することが前提の言い方に零が動く


「やり方が分からないが、まぁウン、相手になろう」


 零は卓球を知らないと口にこぼすが金色力は聞いていない


「では、私が審判するです!」


 森アカネが審判を務めることになった


「では、はじめです!」


 試合が始まった

 金色力のサーブはきちんと零の方にはねる、零は球に反応し打ち返すことができるも力加減を間違えてしまう

 威力は強く球が割れるのではと心配になるほどにスピードが乗っていた。そしてその軌道は的を大きく外れ金色力の顔の横を通る


「…………っ!!!」


 息をのむ金色力はここでやっと零が卓球をやったことが無いと理解した


「……難しいな」


 零はボソッとそうこぼす


「それでは続けて、はじめです」


 金色力のサーブでまた始まる

 今度もきた球に反応できた零は今度は力加減に気をつけて球を打つ

 打った球は狙った場所、台の角ギリギリにはね落ちる


「なっ!一瞬で成長しただと!!!」


 まるで少年漫画の吹き出しのような言葉を口にする金色力


「すごい、これってまぐれかしら?」


「あの顔、きっと狙ってやったんじゃ無いかな?」


「うむ、あの顔つきはねらってやっておるの」


 カムパネルラ、音坂こがね、輝夜が感嘆の声をあげる


「つ、次は反応してやるからな!」

 

 零に負けないと戦いの炎をその瞳に宿す

 

「コツは掴んだな、よし続けよう」


 零は自身の持つラケットを見つめてそういう


「それでは続けてはじめっです!」


 開始の合図で零がサーブを打つ

 

 ・


 ・


 ・


 その後の試合はコツを掴んだ零の圧勝であった

 途中速球や回転も使いだし卓球を少しかじっただけの金色力はその実力を追い抜かされたのだった。


「くそぉ、オイラ負けちまった……オイラが負けちまった……」


 よほどショックだったのか膝から崩れ落ち虚を見ている


「力そう落ち込む出ない、相手が悪かったんじゃ」


 金色力の肩をポンとたたく輝夜

 

「オイラ、負けちまった……」


 顔を上げるも虚を見ている金色力


「ほれ、あやつになら勝てるやもしれんぞ」


 輝夜はそっと指をさす

 その先にはカムパネルラがいた


「あら、わたし?そうねぇ、わたし高校生のときに授業でやった以来ね」


 金色力はその目にまた活力を見いだし立ち上がる


「カムパネルラ!勝負しようぜ!!!」


・・・・・・・・・


 卓球って難しいよね。


 おやすみぃ。

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