50話 サウナと寝湯でゆっくり
真っ先にサウナに行った3人
金色力、彼岸零、鏡乃アリスはほどよく蒸し上がっていた
今この部屋から出れば気持ちよくこの後の食事にありつけるだろうと頭の中にはうかぶのだろうが金色力が爆弾を投下してしまったのでうかつにでることができないのだ
「なぁなぁ我慢勝負しようぜ!」
サウナに入ったとき金色力が勢い任せにそんなことを言う
これが運動した後の入浴ならおとなしく温泉につかっているだけだったろうが現在の状況はバスで移動した後におやつを食べ(金色力のみ)その後の入浴だ、平たく言えば体力が有り余っているのだ
普段の金色力はどっかに行っては勝負を挑み疲れ果て体力が戻ったらまたどっかに行き勝負を挑むそれの繰り返しなのだ。行動力がある考えなしとも言える
金色力の発言に鏡乃アリス、否リデルがそれに乗る
『罰ゲームがあるならいいぜ』
アリスならそれを止めることもできただろうがリデルが先に出てきてしまった
金色力はその言葉を待っていましたとばかりに続ける
「なら罰ゲームは1番最後までいたヤツの命令を聞くって言うのはどうだ?」
リデルは頷く、零も頷き勝負がスタートした
そして冒頭に戻る。
現在はサウナに入り15分くらいだろう
汗をかいてはそれをぬぐい頭が熱にやられていくのを感じていく金色力、リデル
1人涼しい顔をした零が異質なのだろう、その異質さにやっと気が付いたのは入室から25分が過ぎた頃だろうか
『なぁ力、零の様子が変わっていないんだが……』
「……ほえ。オイラに言ったのか?零がどうかしたのか?」
そろそろ限界なのだろう金色力は自身に話しかけられたのにやっと気が付けるくらいに体力を消耗していた
それもそうだろう温泉ひいてはサウナとは体力を消費するモノなのだ
『だから、零の様子がはいってきたときから一切変わってねーんだよ』
「……え!ほんとだかわってねー。なぁなぁ零どうしてだー」
疑問を投げられた零は「どうかしたのか?」といった顔をする
「ん?この部屋にはいってからあまり口を開いていなかったがなにか理由はあったのか?」
平然とするのも仕方ない、なぜならば零の身体は零が知らない間にこの部屋に適応してしまったからだ。
と言うのも零の得意とするのが肉体に関する魔術であり、零は無意識に魔術を発動できるほどの実力を持っていたそれが発動してしまっただけのこと
よってこの部屋に入ってから零は「なぜ2人は黙っているのだろう」と感じていたのだ
ならば我慢対決とはなんなのだろうか、零は考えた。そして一つ思い至った「温泉を前にしてこの部屋でお預けをくらいそして部屋の中では喋ってはいけないという我慢対決」なのではと
『なぁ零さては魔術使ってないか?』
零の異質さに魔術が関与していると思ったリデルが聞くと零は自身の身体を見てから頷く
「……使ってるな。環境適応の魔術だな、勝手に身体が発動したらしい」
それを聞いた金色力は「うがー!」と吠えんばかりに立ち上がり
「もう無理!オイラ先に出る」
先に限界が来たらしい、そしてそれに続くようにリデルも出るので零も部屋を出る
リデルの目的はアリスと同じく零に対するモノ
零の目的は特にない
この勝負、欲の無い彼岸零の勝利として幕は閉じた
・・・ ・・・
寝湯にやってきたのはネムと森アカネ
ネムは寝湯でくつろぐため、森アカネはそれの監視としてやってきていた
「うぅ、わたしも零のとこに行きたかったです……」
愚痴をこぼす森アカネにネムが言葉を返す
「行けばいいの。ネムはここで寝てるの」
(我が寝床はここにあり)と言わんばかりに言う
「そう言うわけには……いかないの。はぁ……」
森アカネの性分として面倒見の良さがあげられるだろう
そのセイだろうか今回のように誰かが1人にならないよう立ち回ってしまうのは、自身がおこないたいこととは別のことでも他者のためにやることができるそれが森アカネという人物なのだ
「ドンマイ、なの」
森アカネに同情して零のいる場所に行くことはしないネム、その背中から(我が考えは揺るぎなし)と言っているのが見て取れる
「zzzzz。」
その身体を隠すモノはない、裸体がさらけ出され外からの風が少し当たるも床に投げれる湯が身体を温める、すぐさまネムが寝てしまう
「………。」
その寝落ち速度に少し呆れた目をする森アカネであった
「ネムは睡眠のために生きてるですね」
・・・・・・・・・
コタツの魔力は恐ろしい、コタツから出ようとしてもこたつがわたしを話してくれないのだ。
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