49話 サブキャラは動き出す

  


 魔術師連合日本支部ではあの超常現象が起きた日から対応におわされていた。

 あの超常現象について分かっていることは魔法使いがこの世界に顕現し魔法を使っていたそれだけが分かっていた。しかし他国がその情報だけで追求を終えるかと言うとそうでは無い、他国は他に情報は無いのかとせかしてくる、そのため日本支部の魔術師は寝る間も惜しんで手がかりを探す羽目になってしまっているのだ


 日本 山の中


「………感知はできたのに観測できてねぇってどういうことだよ!」


「わぁ、先生がまた爆発してるー」


「そっとしておきましょ」


「仕方ないよ、だってここ2ヶ月まともに寝れてないんだもん」


 先生と呼ばれた男は鬱憤晴らしに叫ぶ

 カジュアル系少女がそれを見て「また叫んでる」とからかい

 大正ロマン系少女が手で裾部をもち目を隠す

 キャスケットの少年は手に小鳥をのせながら言う


 なぜこの者達が山の仲にいるかと言えば魔法使いの情報を探るためである。と言うのも男が言ったとおり魔法使いがこの時代に顕現したことは分かったのだがどこに現れたのかは分からなかったのだ。何かしらの妨害工作をされていたのか観測ができなかったため今必死に探す羽目に陥っているのだ


「あの方どこ行ったんですかね?」

 

 大正ロマンは唐突に言うもこの者達には誰のことを言っているのか分かっている


「あの日から連絡無いんだっけー」


 カジュアルがその話に興味をもち話を続けた


「僕のコ達も分からないって、巻かれちゃったみたい」


 キャスケットの手をよく見れば小鳥以外にテントウムシやスズメバチなどが止まっている


「あ゛あ゛あ゛!そうじゃんアイツがいるじゃん、アイツに頼めばなんとかなるかもしれんな。よくやったお前ら!」


 約2ヶ月間数少ない生徒を忘れる者がいるのだろうか?いやいないだろう、この先生と呼ばれる男は要領が悪いのかもしれない、いやここは断定しておこう要領が悪い!と。



・・・   ・・・


 現代魔術師としてその名を魔術師連合にのせ日が浅い少女、しかしその実力は逸脱していて過去最高の現代魔術師になれると評価されるほどである。

 しかしの少女には難があった。

 それは……「一つのことしか見れない」ことだろう

 その難のせいでかの者達が苦労しているのだが少女は気が付かないなぜならば「一つのことしか見えていない」からだ


「今日も零ちゃんは可愛かったなぁ、はやくスパチャ投げたいなぁ」


 少女「魔術師マージ」は自室のパソコンの前で推し活をしていた

 出会いは世間を揺るがすあの日

 見た瞬間に零が魔法使いだと分かりそして声をかけようとしたが近づけなかった

 近づけば命が無いと思ってしまった

 だから遠くから見ていた。そしたら一般人がやってきて話をし始めた、マージは盗み聞きをした。

 そしてその話に興味をいだいた魔法使いの反応をみて現状につながることになった

 配信を見ていくうちに目的は変わったのだ

「魔法使いの情報を入手」から「推し活」に変わってしまったのだ

 

「この部屋の人がパソコン持ってて良かったぁ、あんまり食べ過ぎると怒られちゃうからね自制しなきゃだね!」


 マージはこの部屋を強奪もといこの部屋の持ち主である人間を魔術で生き埋めにした

 マージがこの部屋に来たことを知っている者は今のところいない。


 ・ 


 ・


 ・


「え、零ちゃんメンバーと旅行に行くの!……って明日じゃん!準備しなきゃ!!!」



・・・・・・・・・


「――――寝たい。」


 その声は迫り来る変態(怪人)によってかき消される

 人知れず活躍しているヒーロー、最近はVtuberデビューもはたしヒーロー募集もしているがその声に反応してくれる人はいない

 なぜならば「ブラック」だからだろう

 給料なし 労働時間限りなし やまない出動要請 敵はビジュアルが悪い

 こんな夢と乖離したヒーローと名ばかりの罠に人が集まるわけが無いのだ


「もうやだー!誰か助けてよー!!!」


 ヒーローの少女は叫びながらも手は動かす。その手につけたメリケンサックで力いっぱいに殴る、あのおぞましい物体を露出させた下半身裸の上半身がマグロの怪人に慣れた手つきで殴る、殴る、殴る、殴る、殴る………。


 怪人がポリゴンとなって空に消えていく


「ほんとに誰かわたしを救って下さいませんかね!」


 ヒーロー少女はまた次の現場まで走る

 現場に着いたヒーロー少女は混乱に見舞われた

 そこではメイドと執事が3人ずついてその足下には怪人が倒れている


「あっ、消えた」


 怪人がポリゴンとなって空に消えていく

 

 メイドと執事はヒーロー少女の方を見ている


「あ、ど、ども。同業者の方ですかね?」


 誰かと話すのはいつぶりだろうかとヒーロー少女は思う

 ヒーロー少女の挨拶にメイドの1人が人差し指を上げる

 そちらを見るヒーロー少女


『こんにちは、私たちは喋ることができませんので筆談でお話しさせていただきます』


「あっ、了解です」


『まずはじめに、私たちは主につくられた魔術生物です。故に貴女の同業者ではありません』


「へ?魔術生物って……なに?」


『魔術生物とは魔術によってつくられた使い魔のようなモノです』


「ふ、ふん。分からないけど分かった」


『左様ですか、それでは本題といきましょう――――』


 徹夜の頭に難しい話ははいってこないと思ったがなぜか頭が軽く負荷が全くないまるで十分に睡眠を取って活発に脳が働いているときのように話がはいってくる

 要約すると「ヒーロー活動を手伝ってくれる」というモノだった


「それでは、お願いします」


 ヒーロー少女は疲れ果てた身体を休めるために自宅へと帰るのだった

 

・・・・・・・・・


 あのサブキャラ達は動いていた!

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