第10話   犬も歩けばなんとやら 路地裏Stray dogs 3

『ごちそうさまでした』


スカベンジャーに分けてもらったメシを食い終えて礼をする


食ったのを確認してスカベンジャーは再び頭を撫でてきた


少しだけ相手をしたところでケツを向けて路地裏の方へと向かう


なにせこの後、スカベンジャーへの『お礼』を探しに行くからだ


[クロ、オレはこの後近所のスーパーのゴミ置き場を漁りに行くがお前はどうする?]


[あー、今日はちょいと遠くまで行ってくるよ。この間は少ししか残ってないピーナッツだったからな、あれじゃ申し訳ない。]


スカベンジャーへの礼、あの人は食い物を持っていくとすごく喜んでくれる


恩を売られたら恩で返す、俺たちのルールだ


[そうか分かった、路地裏抜けたら別行ど・・・]


ブルが言いかける


その時、路地裏を抜けてきた風に乗ってなにやら『かぐわしい匂い』がした


少しずつ匂いのした方へと歩いていくとそこには一匹の犬がいた


胴長短足、たしかダックスフンドだったか?よく人間が飼っている気取った憎たらしいやつら


そんな犬がなぜここに?いや、その前に大事なことがある


ブルがブチ切れる前に、このどんくさそうな犬の首をへし折る前に・・・


[あー…お前そこでなにしてる?]


[なにって、クソしてたんだよ。ここはトイレってねえのかよ?それともここだと野グソ持って帰る犬でもいるのか?]


[お前・・・したのか?]


路地裏の中間辺り、ブルの寝床の前でこのバカはクソをしやがった


駆けだす足音がした


慌てて止めに入ったが間に合わず


ブルの大きな口がバカ犬の首をがっちりと咥えていた―――

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