第9話   犬も歩けばなんとやら 路地裏Stray dogs 2

「お?今日も来たなぁ、えぇ?犬っころども。」


優しい声で、ごわごわな大きい手を使い俺たちの頭を撫でまわす老人


『スカベンジャー』、白髪で白髭、痩せて骨ばった俺たちの大切な人間


俺たちは俺たち同士で意思の疎通や会話はできる


だが人間は別だ、ってもんだからな


ガシガシと思いっきり撫でまわされる、ブルはダルンダルンな首周りを遊ばれた


ひとしきり撫でて満足したのか置いてあった袋をスカベンジャーは漁りだす


「今日は・・・っと、ほれ!食い残された豆の煮つけと、期限がひと月前の魚の缶詰だが―――ふむ、まだいける、うまいぞぉ。」


缶詰のふたを開け匂いを嗅ぐと俺たちに均等になるように汚い茶碗によそってくれた


若干だがどことなく酸っぱい匂いがしたが、俺たちにとってもスカベンジャーにとっても最高のご馳走だ、ありがたい


俺たちは今日も感謝の気持ちを込めて、良識のある人間を真似て


         [ い た だ き ま す ]

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る