第5話 籠の中のなんとやら 5
この間の「ニャー」と鳴く毛の塊
興味深く匂いを嗅いでいると人間は言った。
「この子はね、『猫』っていうんだよ。仲良くしてね。」
猫?やっぱり私たちとは違うんだな
視線を再び猫に向けると猫と目が合った
まん丸で小さくつぶらな瞳、ウルウルして輝いていた
私と体の大きさに差があるせいなのか少し怯えている
そういえば前に人間が言っていたな、たしか―――
[誰かと仲良くなりたかったらね、待っているんじゃなくて自分から行くんだよ。]
[そして声を掛けるんだ。簡単さ、‘‘お友達になってください‘‘だ。]
[君たちならきっと簡単にできるさ。人間はちょっとその辺が不器用なのが玉に
ふむ、つまりこうだ。
①近寄る
②声を掛ける(この場合、ワンッ!と鳴けばいいな)
③お友達の出来上がり
ふふん、たしかに簡単だな。しかし、人間にもできないことってあるんだな
よし、まずは①を・・・
私は猫に近寄った
猫は後ろに下がり、丸かった背中がもっと丸くなった
ん?何か違うのだろうか
もうちょっと近寄ると猫は素早い身のこなしで私の脇を通り後ろに回り込んだ
ふむ、臨機応変にいこう
①の工程を一先ずスキップして②を実行することにした、元気よく
「ワンッ!!」
普段よりも大きい鳴き声をあげた
すると猫は高く跳び上がりこれまた素早く私から遠く離れた場所まで行ってしまった
私は人間を見上げて目で訴えた
‘‘だめだこりゃ‘‘
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