もう一人の皇女も動いてた
『シュレンのところにいってきます』
アインゼス竜皇国のもう一人の皇女であるレティシアがそういって、ヴィリス、シーラ達4人のお供を連れて異世界に出立した事に対して、シャリアスもアルティミアも『出征までには戻ってくるように』という言葉で快く送り出してくれた。
これはシャリアスとアルティミアのシュレンへの信頼の証ともとれるものだ。何だかんだ言ってアインゼス竜皇国の皇女ともなれば中々不自由な立場になる。ヴェルティアが例外と言うだけなのだ。
そして点医術で天界のシュレンに会いに行くとそこにはシュレンが立っていた。
「レティシア、よく来てくれた」
レティシアを出迎えたシュレンが嬉しそうに言う。
神魔大戦に事実上敗れたシュレン達は天界を立て直している真っ最中であり、レティシアとは久々に会うのである。
「かなり復興がすすみましたね。というよりももう終わりますね」
「ああ、細かいところはまだだが、ほぼ終了するな」
「あとは人員ですね」
レティシアの言葉にシュレンは少しばかり渋い表情を浮かべた。神魔大戦でディアンリア派は壊滅したが、それはシュレン派の数が増したという事を意味するものではない。何しろほとんどの神や天使達がディアンリアと共に滅んでしまい神と天使の絶対数が足りてないのである。
「正直、俺に協力してくれる神や天使は優秀であるが、絶対数が少ない」
「そうですか……」
「が俺が少しの間いなくても
「え?」
シュレンの言葉にレティシアが驚きの声をあげる。シュレンの言葉はレティシアの助けになり、アインゼス竜皇国に出向くことも厭わないという宣言に他ならないからだ。
「で何があった?」
シュレンの言葉にレティシアは微笑む。シュレンはレティシアのことをきちんと見ていることのあらわれであるからだ。
「お姉様が異世界に拉致されたんです」
「は?」
シュレンの呆けた表情にレティシアは笑う。シュレンも姉であるヴェルティアの実力を知っている以上、当然の反応であるといえる。
「もちろん、お姉様は無事です。既にディアーネとユリが側にいる事も安全を確約している要因です」
「そうか。それは一安心だ。それでシルヴィスは?」
シュレンはホッとした表情を浮かべるとシルヴィスの事を尋ねてきた。シルヴィスが何の手も打っていないとはどうしても思えなかったのだ。
「お義兄様は、お姉様を拉致した国と異世界の神を潰すために準備をしています」
「なるほどね」
「そしてアインゼス竜皇国の総力を挙げて
「俺出番ある?」
レティシアの言葉を聞いて、シュレンが発した言葉は自然なものであろう。シルヴィス、シャリアス、アルティミアの実力を知るシュレンにしてみれば、むしろ異世界の神と国に同情するレベルだ。
「もちろんあります」
「ん?」
シュレンが首を傾げると少しだけレティシアは頬を赤くした。
「あなたが隣にいてくれるだけで私はこの上なく心強いです」
レティシアの言葉にシュレンの頬が赤くなる。レティシアの言葉は『あなたと一緒にいたい』と言っているに等しいものだ。またレティシアが頬を赤くして言うのは可憐な美少女のそれで心が大きく動くのも当然というものである。
「もちろん、そのつもりだ」
「ありがとうございます」
レティシアはそう言ってニッコリと笑う。その様子を見ていたお供の面々もうんうんと頷いている。レティシアがシュレンに嫁いだ際にはついてくる面々なので、主夫婦が仲むつまじいというのは喜ばしいものなのだ。
「キラト達には声をかけないのか?」
「迷いましたけど、リネアさんが身重ですから今回は声をかけない方がよいと判断しました」
「そうだな。さすがにもうすぐ子どもが生まれる方を戦場に引っ張り出すわけにはいかんし、キラトも生まれるまでは一緒にいたいだろうしな」
「ええ、そういうことで今回はキラトさん達には話をもっていかないことにしますね。それにこれ以上はどう考えても戦力過多ですし」
「それもそうだな」
レティシアの言葉にシュレンは苦笑しつつ答えた。
「それじゃあ、ちょっと指示してくるから」
シュレンはそういうとレティシア達の前から姿を消した。アインゼス竜皇国にいくのに部下達に指示を出すためだ。
アインゼス竜皇国にシュレンが助っ人として参戦した。
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