心を折る②
「さてそれじゃあ始めようか」
シルヴィスが不敵に嗤うと神達はゾクリとした感覚とともに構えをとる。先程、シルヴィスに頭部を潰された二柱は再生が始まろうとしているところだ。
「邪魔」
シルヴィスは再生の始まっている二柱を蹴飛ばして端に追いやった。まさにゴミ扱いである。
「再生ならそっちでやっとけ」
シルヴィスはそう言い終わると同時に四柱を殴り飛ばした。紋様が顕現している状態のシルヴィスの戦闘力は顕現していないときの比較にならない。シルヴィスの拳打は四柱の耐久力を遙かに上回っており、四柱はたった一撃でピクピクと痙攣をしたまま横たわった。
「うおぉぉぉ!!」
最初にシルヴィスに殴り飛ばされた一柱の再生が終わりシルヴィスに果敢にもに挑んできた。
それをシルヴィスは雑に払う。
それだけで一柱は粉々に砕け散った。
「う~ん、再生までの時間がもったいないな。もう少し加減するか」
シルヴィスはこれ以上ない無慈悲な事を言う。シルヴィスにしてみればこの七柱は単に不死身なだけであり実力的には大した事はないと見ている。そのために多くの時間をかける意義を見出せていないのである。
「お、再生したな」
シルヴィスが先程ゴミをのかすように蹴り飛ばした二柱の再生が終わったと確信した瞬間に二柱に襲いかかる。
シルヴィスの右肘が一柱の頭部を粉砕し、そのまま回転してもう一柱の顔面を裏拳で粉砕した。
「あ、いかん。またやってしまった」
シルヴィスは粉砕した二柱を見てため息をつく。致命傷を負わせてしまうと再生までの時間が長引くのだ。
「もっとテンポよくやりたいんだよな。あっちの四
シルヴィスはそう言うと倒れ込んでいる四柱へ向かって歩き出す。
「お、お待ちください!!」
「我々では貴方様に勝てない事は十分に理解しました」
「貴方様に従います」
「数々のご無礼お許しください」
四柱はシルヴィスへ向かって命乞いを始める。
(
シルヴィスは心の中でそう呟くと四柱を殴り飛ばした。その際に加減をしたために今度は骨が砕けるケガですんだのである。
それからシルヴィスは七柱が蘇る度に徹底的に痛めつけた。
七柱は何度蘇ったところでシルヴィスに痛めつけられるという絶望に抵抗をすっかり諦め、ただひたすら慈悲を乞うだけになった。
(これでいいか)
シルヴィスは頃合いとして痛めつけるのを止めると静かに言う。
「さて、お前達の主が誰か理解したか?」
シルヴィスの言葉に七柱はただただ平伏して応える。完全に心が折れており、もはや逆らうという選択肢すらもはや七柱の中には存在しない。いかに肉体的に不死であろうと自我があり、痛覚があるというのならば苦痛を与え続けることで心を折ってしまえばよいのである。これは猛獣使いが痛みを与えることで抵抗の意欲をなくさせる方法を見て実践したのである。苦痛が辛いというのは神であろうが人間であろうが獣であろうが同じなのだ。
「これからお前達は俺の手足となって働いてもらう。簡単に言えば異世界の神々との戦いだ。そこで好きに暴れろ。ただし、アインゼス竜皇国の方々に迷惑をかけるな」
『はっ!!』
シルヴィスの言葉に七柱はただそれだけ返答する。
シルヴィスに不死の部隊が配下に誕生したのである。
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