神魔大戦 ~超越者達①~
「さて……それでは楽しもうか」
ヴォルゼイスが楽しそうに言い放つと同時にシルヴィスとの間合いを詰めると首を薙にいった。
ヴォルゼイスの斬撃はさすがは絶対神を名乗るに相応しいものである。しかし、シルヴィスは
斬撃を躱したシルヴィスは即座に反撃に移る。シルヴィスの選択した反撃は左拳であった。タイミング、速度、威力全てが素晴らしい一撃であったがヴォルゼイスは回避すると剣の柄でシルヴィスの左腕を打ち付けようとした。
キキキキィ!!
「ち……読んでいたか」
シルヴィスの舌打ちにはヴォルゼイスの称賛があった。
ヴォルゼイスが剣の柄でシルヴィスの左腕を砕こうとしたのはシルヴィスの誘いであり、左腕を打ち付けさせると同時にシルヴィスは
それを読んだヴォルゼイスは咄嗟に攻撃を中止し、
「ふ、君がすぐに左腕を引かなかったからね……攻撃の瞬間を狙ってることがわかったんだよ」
「なるほどな……まぁそこまで賢いヴォルゼイスさんなら次は腕が飛ぶということはわかるよな?」
シルヴィスの言葉は次の技の応酬でヴォルゼイスの腕を斬り飛ばすことを宣言したのだ。
「そうだねぇ〜まさかここまで強いとは思わなかったよ」
ヴォルゼイスは特段気分を害した様子もなく手にしていた剣を放り投げた。
カラン……
投げられた剣が床に落ちると甲高い音が響き渡る。
「しかし、よくわかったね。私が剣がそれほど得意でないということを」
「ああ、あんたの斬撃は一流と呼ぶにふさわしいものであるけどやはり違和感があったからな」
「そうか……すまなかったな。これからは本気でやらせてもらうよ」
「あんたの修めた業は……無手術か」
シルヴィスの問いかけにヴォルゼイスはニヤリと笑って言う。
「そういうことだ。私が無手で戦うなんてのは本当に久しぶりだよ」
「ほう……光栄だな。それで……何年振りだ?」
「ざっと三千年振りだね」
「それはそれは鈍ってるんじゃないのかな?」
「ふふ、心配は無用さ」
ヴォルゼイスの両腕に凄まじいばかりの魔力が集まっていく。
(これは凄まじいな……)
シルヴィスが判断した瞬間にヴォルゼイスは動く。
シュン!!
ヴォルゼイスの放った左貫手は空気を切り裂きシルヴィスの喉を突きにきた。シルヴィスは放たれた貫手を横に避ける。しかし、躱しきれなかったシルヴィスの首筋に一筋の傷がつく。
ヴォルゼイスは左貫手を引くことはせず、そのままの勢いでクルリと回転すると右裏拳を放ってきた。
シルヴィスは
(く……斬れない)
シルヴィスの
しかも、ヴォルゼイスの裏拳の威力を堪えることができずに飛ばされてしまう。
「はっ!!」
ヴォルゼイスは左掌から魔力を放出する。シルヴィスは放たれた魔力の奔流が直撃する前の一瞬に防御陣を数十枚構成する。
ガシャァァァン!!
しかし、急遽張った防御陣ではヴォルゼイスの魔力の奔流を止められない。わずか直撃の時間を遅らせるのに精一杯だったのだ。
だが、シルヴィスが防御陣を形成した理由はそのわずかの時間を稼ぐためであった。シルヴィスは空中に浮かんでいた状況でヴォルゼイスの一撃を交わすことは不可能と瞬時に見抜き防御陣を形成しわずかの時間を稼ぎ回避しようとしたのだ。
シルヴィスのこの選択は最高の効果を発揮すると回避に成功したのだ。
(流れを取り戻さないとな)
シルヴィスは着地と同時にヴォルゼイスの間合いへと跳びこむ。
ヴォルゼイスは不敵な笑みを浮かべるとシルヴィスを迎え撃った。
ドォン!! ドォン!! ゴゴォォォン!!
シルヴィスとヴォルゼイスの撃ち交わされる拳、肘、膝、蹴りは凄まじい音を発し、周囲を揺るがした。
(ち……やる。有効打は容易に入れられないな。それに……どういうことだ?)
シルヴィスは激しく撃ち合いながらも有効打を入れるために搦め手を使う必要性を考え始めている。そして、何発か軽い打撃がヴォルゼイスに入っているのだが、奇妙に通らない拳打があることを疑問に思っていた。
(ふ……まさか、ここまで強いとは……有効打ではないがこの私に拳打を入れることができるとはな……だが、どういうことだ?)
一方でヴォルゼイスはシルヴィスの強さを称賛しつつもシルヴィスの拳打のうち、何発か自分に
ヴォルゼイスの放った右拳をシルヴィスは左手で受け流すとそのまま前進し、
ガギィィ!!
「何!?」
しかし、シルヴィスの
「ふ……残念だったな」
ヴォルゼイスの肘打ちがシルヴィスの左頬へと直撃した。その威力は凄まじくシルヴィスは五メートルほどの距離を飛んで着地する。
「すごいな……君は」
「嬉しい評価だな」
「ふ……あのタイミングで自分で後ろに跳ぶとはな。おかげで今の肘打ちが有効打にならなかったよ」
ヴォルゼイスの称賛の言葉にシルヴィスは目を細めた。
「君は本当に強いな……」
「あんたもな」
両者は互いを称賛すると互いに笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます