第58話 八戦神⑤
八柱が地面に降り立つとシルヴィスが不敵な表情で迎えた。まるで
勿論、シルヴィスとすれば神である
「さて……
「貴様、アグナガイスを斃したくらいでいい気になるなよ」
「みなさんと言葉を交わすとこちらの品性が下がるからあまり語りたくはないんだよな」
シルヴィスの侮蔑の言葉にヴェルティア達もうんうんと頷いた。
「そうですねぇ~この方達には残念ですけど知性と品性というものが感じられませんねぇ~」
「仕方ないさ。この世界の神
「あっ……すみませんでした」
ヴェルティアはそう言ってペコリと頭を下げて謝罪した。
それを見たアルゼス達はピシリと表情を引きつらせた。ヴェルティアが頭を下げたというあからさまに見せた隙を衝こうとしたのだが、シルヴィスだけでなくディアーネ、ユリが警戒していたため踏み込めない。
「みなさんは、神という存在に生まれた事が本当に重荷なんですね。わかります。わかります。でも!! でもですね!! 知性と品性というものは本人の努力によりある程度……あ、無理ですね」
ヴェルティアはそこでハッとしたような表情を浮かべた。
「これからみなさんは……その経験を活かすことはできないんでしたね」
「なんだと?」
「だって……」
ヴェルティアは話の途中で
ただ、ヴェルティアは強くなろうとして磨いたのではなく、“こうしたら面白いのでは?"という完全に興味本位から来るものであった。
「でぇい!!」
ヴェルティアは右手に魔力を込めて一柱に叩きつけた。
ガシャァァァァァン!!
ヴェルティアの拳が防御陣を打ち砕くと神の表情が驚愕のものへと変わる。ヴェルティアの拳により自分の防御陣を打ち抜かれたことを察することが出来たのは、実力の高さ故なのは間違いない。だが、それはヴェルティアの拳を躱すことが出来ることを意味するものではなかった。
ゴゴォ!!
ヴェルティアの拳をまともに胸部に受けた神が弾かれたかのように高速で吹っ飛んでいった。
「あらら~あっさりと吹っ飛びましたねぇ~」
「貴様ぁぁぁ!!」
「あら?いいんですか?」
ヴェルティアは首を傾げながら言うと激高した神が怪訝な表情を浮かべた。
「だって」
続いてヴェルティアが口を開いたところで、言葉をかけられた神の姿がヴェルティアの視界から消えた。シルヴィスが蹴飛ばしたからだ。
「な……」
「シルヴィスがそんな隙を見逃すわけないじゃないですか。ってどこいったんでしょうね?」
シルヴィスの攻撃が入ったことに残りの神達の意識がシルヴィスに向かった。それはほんの一瞬、いや、一瞬と称するのも憚れるような時間であった。だが、ヴェルティアとシルヴィスにはその一瞬で十分すぎたのだ。シルヴィスとヴェルティアの拳が高速で放たれ神達を次々と殴り飛ばした。
「う~ん、こんなに上手くいくなんて思ってもみませんでした。神様って意外と隙だらけなんですね~」
「まぁ、自分達を強いと思い込んでいる惨めな連中だからな」
「そうですねぇ~。何というか一つ一つの技術が拙いんですよね」
「おっと」
シルヴィスがヴェルティアの襟首を掴み後ろに跳びキラト達の元に戻った。その一瞬後に二人のいた空間を斬撃が通り過ぎる。
「普通、襟首じゃなく抱きしめるものだと思うんですけど」
「そうだな。次はそうすることにするよ」
ヴェルティアの抗議にシルヴィスは苦笑しながら斬撃を放った相手を見やった。そこには顔面を腫らしたフォルスがいた。ヴェルティアの拳に殴り飛ばされたフォルスであったが立ち上がることが出来たのはさすがは神というべきだろう。
「下等生物がよくも……」
フォルスが怒りに満ちた視線をシルヴィス達に突き刺してくるが、シルヴィスとヴェルティアの二人はまったく気にしていないようだ。
「何だか怒ってますね? 顔も腫れてますし、どうかしたんですかね?」
「多分だが、何もないところでこけた事が恥ずかしかったんだろうな」
「え?じゃあ八つ当たりってやつですか?」
「そういうことだろうな」
「何というか神様って器が小さいですよね」
シルヴィスとヴェルティアは過剰なほどフォルスをいや
(シルヴィスのことだから何か考えがあるんでしょうねぇ。具体的には分かりませんが、乗っておくことにしましょう)
ヴェルティアはシルヴィスが何らかの狙いをもって
「殺してやる」
「下等生物が……」
他の
「さて、
シルヴィスはヴェルティアにだけ聞こえるように呟いた。
「何の事か分かりませんが
「まぁな」
「さて、俺とヴェルティア、キラトであっちの四柱をやろう」
「あっちですか? まぁいいですよ」
「じゃあ、残りはディアーネ達とリネアさん達にやらせるというわけですか?」
「まぁそういうことだ。キラトそれでいいか?」
シルヴィスがキラトに声をかける。
「ああ、構わん。しかし……あいつらは流石に神だぞ。お前らの二人の攻撃で死ななかった。それなのに俺たち三人で四柱、舐めない方が良くないか?」
「大丈夫だ。俺たちは絶対に負けないからな。……で頼めるか?」
「ああ、わかった。みんな、俺たち三人であっちの四柱をやるから、みんなは残りの四柱を頼む」
「わかったわ。みんなやるわよ」
「はい!!」
リネアの檄にリューベ達は力強く答えた。
「ディアーネもユリもリネアさん達と一緒に戦ってくださいね」
「承知しました」
「お嬢、まかせてくれ!! あのクソヤロウ共をギッタンギッタンにしてやるぜ!!」
ディアーネ達も同様にやる気を見せる。やはり表面上の態度はともかく内心、この
「さて、作戦は決まった。神様達、殺してやるからかかってこい」
シルヴィスの煽りに
(さて……まずはあの
シルヴィスは
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