第7話 帰っちゃだめなの…?

「うぉぉおおお!!!天才が来たぁ!!!」


「神の降臨だぁ!!!!!」


「俺たちを忘れてるわけじゃなかったんだぁ!!!」


俺が叫んだあと、観客席から次々にそんな声が上がった。


えぇ……? なんでそんなテンション高いの?


自分で言うのもなんだけど俺カッコよくないよ?

ただの一般高校生だよ?


みんながそんな期待するほどのことないよ?

得意なのはしょんぼいマジックとかだよ?


…………そんな期待されると、なんか心地悪いんですけど…。


俺は帰りたくなる気持ちをグーッと抑えて、とぼとぼと真ん中へと歩いていく。


「遅いじゃない。」


俺が数分かけてたった何百メートルを歩いた先で待っていた美少女JKが、ふんと高圧的な態度で言う。


えーー…?

何これ? 俺なんか恨まれるようなことしたぁ?

確かに遅刻はしたけどさぁ、そんな睨むことなくなぁい?


俺なんかの物理の賞の時1時間遅刻したけど、みんな拍手してくれたよぉ…?


狭くなぁい? 心狭くなぁい?


「じゃあお互い剣を持て。」


俺は教師の掛け声でしぶしぶ地面に刺さってる剣を抜いた。


っておんもぉ!!?

なんでこんな重いのこれ!!?

鉄なの!? 鉛なの!!?


…………はぁもうやだよ…こんなの振り回して戦いたくないよ…。


なんで現実でファンタジーやろうとしてんの?

サイファイSFでいいじゃんか!?


俺はやはり文句たらたらだけど、仕方なく。

このまま帰ったら妹にボコされるので、金属の塊をどうにか持って構えた。


…………これってこういう構えでいいの?

俺こういうの習ったことないからわからないんだけど…。


「よぉぃ!!!!始めっ!!!!」


俺が戸惑っているうちに教師が声をかけた。


「え?あっちょ……」


聞いてないよ!! もうちょっと練習とかさせてくれよ!!!?

俺まじで死ぬよ!!? I am going to dieだよ?


「いくわよっ!!!」


剣を多分正解な構えで振りかぶって、相手の女の子がかかってくる。


うわぁ。きたよ、めっちゃ強そうだよ。

てか浮いてない? 何あなた俺の最新研究でも盗んだん?


外付け機械つけなくても浮ける様になったんか?


「っ!!!!!」


なんとか俺は自分の剣で相手の剣を受け止めた。


やべぇよ、死ぬよ。


これギブアップないの?

てかどうなったら終わりなの?

ルールとか読んでないんですけど?

死ぬまでやめないとかじゃないよね?


「っ!!なかなかやるじゃない!!!それならっ!!!」


何故か楽しそうに新しい構えを見せる女の子。


……………まじでさ、俺帰っていいか?

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