第5話 どこのどいつ?ここのこいつ!
「嫌だ嫌だやりたくないやりたくない!!!!」
俺は自室のベッドの上でジタバタと駄々をこねる。
「だめっ!!」
部屋の入口で俺の妹が腰に手を当てて叫んだ。
「うるせぇ!横暴だ!!暴挙だ!!権力の不正利用だ!!!FBIに訴えてやる!!」
自分の携帯電話を取り出して、11まで打ち込む。
お前動くなよ!!
それ以上動いたら0打つかんな!!!?
警察に通報してやるカンナ!!!?
「訴えれるものなら訴えてみなよ!!!」
あっかんべーをしながら妹が叫ぶ。
あらやだこの子!!! なんてこと!!
こんな子に育てた覚えはありません!!!
昔は俺に懐いていい子だったのに!!!
「あぁ言ったな!!!言ったなお前!!!よぉしやるぞ!!俺は一度口にしたことは完全にやり遂げる主義だからな!!!いいのか!?知り合いのFBIの責任者のジョニーに電話するぞ!!!」
流石に兄妹げんかの延長で通報するのは578回目なのでやめておこうと思った俺は、日本がだめならアメリカと、画面をあと1タップすればジョニーに電話をかけられるところの画面を妹に見せつける。
「なんでFBIの責任者の連絡先知ってんのよ!!!」
俺の部屋に落ちていたゲームのカセットの入れ物を投げた妹が叫ぶ。
いってぇ!!!
くそぉ!! それお気に入りなのに!!!
壊れたらどうしてくれんだ!!!? 高いんだぞ!?
「行きたくもねぇ香水臭いアメリカのパーティーで無理やり押し付けられたんだよ!!!!ついでに連邦警察の最高官の連絡先も持ってんかんな!!?米国と独国で左右から挟み撃ちだからな!!!?」
俺はジョニーの下にシンドラの連絡先も表示して叫んだ。
本当になんであっちの奴らはみんなして香水つけるんだか。
繊細な俺からしたら、鼻がもげそうだった。
「もぉうっさいわよ!!!」
言うことがなくなったのか、妹がポカポカとそこら辺に落ちてるものを投げまくる。
いてぇいてぇって!!!
だからゲームのソフトはやめろ!! 高いんだから!!
「だいたいなんで一学生の俺が真剣で殴り合いなんてしなくちゃいけねぇんだ!!!」
俺は少し前に渡された学校のプリントの一番下の文字を指差す。
『怪我または最悪の場合命に支障があるかもしれませんが、心配はありません。』ってなめてんのか!!?
心配あるよ!!? ありありだよ!!!?
なんだよ命に師匠があるかもしれないって!!
そんなの学校のイベントでやるなよ!!! 危なっかしい!!
「どこの世界の一学生がFBIと連邦警察のお偉いさんの連絡先持ってんのよぉ!!!!!」
妹が頭に手を当てて叫ぶ。
飛んできた妹お気に入りのプリンのぬいぐるみをキャッチして俺は、
「ここのこいつだよぉおおお!!!!!!」
そう自分を指さして妹よりも大きな声で叫んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます