鈍感な片思い男子
藤波と佐々木の距離は少しづつだが近づいている。
友人という枠組みから外れいない程度だが良い距離感である。
「藤波さんって可愛いよな楠異論は認めないからな」
「彼女の方が可愛いに決まってるだろ」
「質問する相手間違えた」
「まぁ…一般男子からしたら可愛いとは思うぞ彼女いない男子から見たら、な」
「お前それこの学校のほとんどの男敵に回したぞ」
楠は痛くも痒くもない様子で余裕そうに笑っている。
これが余裕のある男の図である。
「藤波さん俺の事嫌いなのかな?全然進展しない」
友達としては上手くいっているがそこから先には進まないらしい。
「俺少女漫画とかで勉強したんだけどね」
「参考にする教科書間違ってるんよな」
その通りである佐々木お前は参考書を間違えた。
少女漫画は現実にほとんど起きない事ばかりである。
そしてイケメンだから許されるのだ。
特大急の変人である佐々木修哉にはできない芸当なのである。
「じゃあ何を参考にしろと?」
「恋愛に参考もクソもあるか恋愛は経験だ当たって砕けろ」
「砕けたらいかんだろ」
「砕けたら骨拾ってやるから…」
「俺が失敗する前提なの?」
佐々木は困惑した様子で楠に言う。
「この前友達になりませんかって馬鹿正直に正面から言いに行ったときにお付き合いは知らないけどって言ってたろうが」
「緊張しすぎて話聞いてなかった…」
「今の藤波はお前の事友達くらいにしか見てないんだよ」
「厳しい…けどやらないと分からないだろ結果なんて!」
「そうだけどさ…まぁとりあえず頑張ってみなさいな俺は応援しかできないからな」
と佐々木は意気込んでいたが、藤波といざ話そうとなると全然ダメだった。
コイツ会話の内容天気しかないのだろうか?
合う度に「天気が良いですね」と言ってるよ。
今日も放課後偶然会った藤波と話しをしている。
「なんで佐々木くんはそんなに緊張してるの?」
「ゴッホ!ゲホっ?!」
「だ、大丈夫?!」
どうやらパニックになって飲んでいた飲み物が変なとこに入ってしまったらしい。
「やばかった…」
げっそりと疲弊した顔をして佐々木は言う。
藤波は心配した様子で佐々木の顔をのぞいている。
「ご、ごめんね変な話しちゃって」
「大丈夫だよ、驚いただけだから」
「じゃあ落ち着いたから遠慮なく話すけど、私と話すとき緊張してる?」
「あ、あー…どう応えたら良いんだろう」
気まずそうに頬をかきながら藤波の方を佐々木は見る。
「その…好きな子を見て話してると緊張するだけで…」
「すっ…?!」
珍しく藤波が動揺する。
佐々木が自身に好意を持っているのは知っていても、ストレートに隠さず言うのは心臓に悪い。
「あれ?藤波さん顔…赤いけど体調悪い?」
「ひゃい!」
藤波の事を純粋に心配して佐々木は藤波のおでこを触って体温を確認する。
「…熱は…なさそうだけど心配だし送っていくよ」
「あ、ありがとう…」
藤波は自身の頬を触っている。
「佐々木くんの馬鹿…」
本人には聞こえない声で藤波は呟いた。
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