え?!俺藤波さんのことLoveなの?!
好きならば思いを伝えるべきなのではないかと思うが。
佐々木の回収役兼友人の
その時の回答がこちら。
「俺は藤波さんを眺めたいの崇めたいの!」
うんいつも通りイカれている返答ですね一周回って安心した。
佐々木は藤波へ信仰と似た何かだと勘違いしているのだ。
好きだと言ったがそれはアイドルに向けて言う限界オタクのそれに近いと思っているのだ。
鈍感というかもうおバカなのではないだろうか。
一方藤波はと言うと
「ねぇ、沙江。残念イケメンとはどうなってんのさ」
「それやめてあげなよ
「えー、良いあだ名だと思うんだけどなぁー?」
残念イケメンと命名したギャル系の女子改め
「残念ってマイナスな言葉だからダメだよ」
「イケメンは良いんだぁ?」
「かっこいいのは事実でしょ?」
藤波がそう言った時にドン!と大きな音が鳴る。
「おい誰か!佐々木が!倒れた!」
「楠ー!佐々木が!」
「……」
あながち残念なのは間違いではないのかもしれないそう思った藤波だった。
楠が佐々木の元にやってきて引きずって保健室まで運んで行った。
藤波はどうして佐々木が倒れたのか理解していない。
きっと寝不足とかそんな感じなのだろうくらいにしか思っていない。
藤波は言葉が人のいい所は直球で言うのだ。
悪いところは濁すというとてつもなく今の世の中では考えられないくらい優しい女子である。
この子にはずっと心の綺麗なままでいて欲しいと切に願っている。
「何あの子…良い子ぶっちゃって…」
まぁそんないい子だからこそだろうか一部の同性からは嫌われてしまう。
本人はそれを知る由もない。
「藤波さんちょっといい?」
「良いよ」
三人組の茶髪ロングヘア、黒髪ショートボブと焦げ茶セミロングの三人組が放課後に藤波を囲って話しかけてきた。
藤波は笑顔で返答して彼女たちに着いていく。
人気のない校舎裏に連れてこられた。
「どうしたの?何か手伝い?私に出来ることがあったら…」
「良い子ぶるのやめてくんない?」
藤波の言葉を茶髪ロングヘアの女子が遮る。
「そんなつもりは、ないんだけどな」
「佐々木くんがあんたに迷惑してんの分からないの?いつもあんたの言葉でいつも倒れて」
それはあいつの自業自得ではないのだろうか。
藤波は訳も分からず首を傾げている。
「あんたのせいでこの子、佐々木くんに振られたんだよ?!」
黒髪ショートボブが茶髪ロングヘアを慰めるような仕草をしながら言う。
うんうんと頷いて同調する焦げ茶セミロング。
簡単に言えば女の醜い嫉妬である。
あの子には振り向いてくれるのに自分は見てくれないの?みたいなやつである。
「私、佐々木くんのこと全然知らないし関係ないと思うけど…?」
「うるさい!」
藤波の肩を茶髪ロングヘアが強く押す。
そんなことが起きると思っていなかった藤波はそのまま尻もちをついた。
「あんたがいなかったら…!」
手を振りあげてビンタをしようとしているのが分かったのか藤波は痛みを覚悟するために目を閉じた。
「あー…これどうしたらいい?」
突然女子ではない低い声が聞こえる。
茶髪ロングヘアは乾いた声で「さ、佐々木くん」と言っているのが分かった。
そこにはタイミングがいいのかなんなのか佐々木が気まずそうな顔をして立っていた。
「いじめは…良くないよ?」
「ち、違う!佐々木くんが藤波のせいで毎回倒れてるから…!」
「それは俺が藤波さんに褒められて嬉しくて耳が幸せになって倒れてるだけ」
スパッと言ってくれるのは良いのだが、何故だろう…発言の内容のせいだろうか、とてつもなくかっこ悪い。
藤浪の顔を見て欲しいどうしたら良いか分からなくなって真顔になってしまった。
「後、藤波さんは良い子ぶってる訳じゃない謝って」
「なんでその子ばっかり!私のことも見てよ!」
茶髪ロングヘアの目からはポロポロと大粒の涙を流しながら叫ぶようにして言う。
「ありがとう俺のこと好きなってくれて、でもごめん。藤波さんのこと好き…だから?」
おいおい何故そこで疑問形になるんだ佐々木…と思ったが、こいつは恋心を自覚していない。
そのせいで自分で言って戸惑ってしまったのが。
「好き…俺、藤波さんのこと好き?!」
ブワッと一気に佐々木の顔が真っ赤になった。
「うわぁ…どうしよう俺好きなの?藤波さんのことLoveなの?!愛してるの?!」
先程まで泣いていた人もびっくりしたのか涙が引っ込んでいる。
藤波と茶髪ロングヘアのお付きの二人は困惑している様子。
いじめられている女の子を助けて始まる恋愛は存在すると思うだろうがしません。
謝れと言った所まではかっこよかったのに残念すぎる。
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