深夜の灯
小窓から、心地よい冷ややかさを湛えた風が入り込む。窓から顔を覗かせると、うっすら滲んだ月明かりが見えた。
久しぶりに編集画面を開き、今日も思いの丈を綴る。
明日。これまで私を悩ませ、葛藤させていた事柄からひとまず解放される。『大人たち』と顔を合わせ、会社の成り立ちを聴き、ベールを纏った本音を口早く伝える。
勉学での試験しか知らなかった私にとって、そのどれもが未知の体験だった。思った以上に体力、気力が削られ……。大変なものなのは承知していたが、ここまでだとは…。
だが、正直に言うと、私は就職活動を楽しんでいた節もある。
幼少期、はるか彼方に存在すると感じていた『大人』と『使命』が克明に現れ、『もっと、もっといい社会を構築していきたい』という願いに(少なくとも現段階では)合致する将来が見えたからだ。
幼心の決断も、誓いも、微かな願いも、すべてが今もなお生き続けている。幼少期の私に伝えたい。あなたのおかげで、自分が生きる道を見出すことが出来たよと。
ひとまず、近日中の決戦を終えたら、髪を染めようと思う。上品な紫色にするつもりだ。この後も実習が待ち構えているから、また染め直さなければならなくなるだろうが、一年近く続けた自分に褒美をあげたい。
自分だけではここまでこれなかった。友人や先生が愚痴を聞いてくれたり、アドバイスをしてくれたおかげで、なんとか気持ちを奮い立たせることが出来たのだ。彼女たちには本当に感謝している。
ひとまず今日はここまで。明日に備え、今一度志望動機や考えを纏めるつもりだ。
頑張ろう。いい結果を残せるように。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます