移ろう季節と妄想
ここ数日で一気に冷えこんでいる。夏の終焉が近いのだろう。焼き尽くされるような暑さに見舞われなくて済むという安堵と同時に、どこか冷ややかな風が耳元をよぎる度、寂しさを覚えてしまう。あんなに疎ましかったはずなのに……。
この時期、私は決まって深夜のサービスエリアに訪れる妄想をする。
今よりも寒くなり、冴え冴えとした空気を少しずつ纏い始める11月頃。テクノ調の、深夜にぴったりな音楽を流しながら、午前一時の閑静な高速道路を滑り抜け、ぽつんと光っている古びたサービスエリアに到着する。
外に出ると、冬特有の張り詰めた感覚が鼻腔をくすぐる。煌めく光を見上げ、白くなり始めている息に高揚しながら、安い蛍光灯が光る店内に入る。色とりどりに点滅する自動販売機の列、どさどさと並べられた土産の陳列台を抜けると、趣がある食堂が見えてくる。
仕事中の方々が黙々と食事をしたり、古新聞を読みながらお茶を啜るのを横目に、何の変哲もない醤油ラーメンを食べる。飾り系のない香りが味わいが特別感を付与する。サービスエリアでしか味わえない貴重な体験。その後、車をすいすいと走らせ綺麗な高台から朝日を見ることが出来たら最高だ。
書いているだけで気持ちが昂ってきた。いつか、車の免許を取得し、大好きな子と共に深夜のドライブに行きたい。永遠の憧れだ。
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