論説は感情、小説は論理

冒頭の言葉は、憧れていた現代文の教諭が大学受験に役立つ豆知識として教えてくれたものである。


小説は、登場人物の感覚や言葉の意味を「論理的」に分析することが大切。一方、論説は主題に対し作者が述べる意見を「感情的」に捉えることが大切だ。まさしく逆転の発想、初めて聞いた時は目から鱗が落ちた。先生は、あくまでテストにおける読解法として提唱していたが、私は普段の読書においても同様のことが言えるのでは?と非常に納得していた。


私は、小説よりも新書や歴史書、哲学書といった所謂『論説文』が好きだ。今の社会、世界で発生している様々な事象や何が問題とされているのか知ることが出来る上、筆者の意見を聞くことで、共感したり、時には疑問が浮かんだり……。あらゆる形に変容する社会の真理に王手を差し出せる。その瞬間が何よりも好きなのだ。


また、一次創作をしていることも「論説好き」に拍車をかけたのだと思う。物語は、強固な論理という基盤のもとに感情を成り立たせることが鉄則だ。物語内における論理とは、即ち作者の知識量。あらゆる事象に関心を向け、洞察し、リアリティのあるものに形作ってゆけるかが試されている。その為、私はかなり早い段階で小説よりも、より具体的に社会の実情を知れる新書を嗜むようになっていた。カクヨムでも、小説より創作論といった論説文の方に心が惹かれる。


一方、小説は論説より読むのが難しいと感じてしまう。特に苦手なのはハイファンタジーで、国の名称や専門機関の役割、武器の機能、技の効果といった細かい情報が押し寄せるだけで、一気にめまいがしてしまう。キャラクターの人間性、世界観、筆者が物語を通じて伝えたいことは何となく認識できるが、何がなんだか分からないし、頭痛がしてしまう。これは、漫画でも同じことが言える。いや、寧ろ漫画の方が多いかもしれない……。


読解力がないからだと言われたらぐうの音も出ないし、恐らく創作を描くうえでは相当不利になってるはずだ。これからは、小説を読む力を強化してゆきたい……。


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