エピローグ 掌に月明りを
時間は少し過ぎて2人が山を下っている時だった。
蒼く歪んでいた世界が光り輝き、水音が鮮明になり響いた。
夢の時間が現実に吸い込まれ
優しいようで残酷な今が流れていった。
少しだけ、時間は流れて数年。とあるアパートで流れ星が流れる夜、2人はのんびりと
「ふふっ。懐かしいね。この流れ星。」
「だな。あの日も・・・こんなんだっけ?」
「えっ?もしかして・・・忘れた?」
「逆にそのことを忘れられるなら俺は教えて欲しいよ。」
「・・・そうかも!!」
と、2人は揃って笑みを浮かべて吹き出し笑いあった。そして肩を寄せ合って千沙な小さな星を静かに眺めていた。
そっと、目を閉じた。
成就したあの日に唇を重ね合わせて頬を赤く染めた。
幻想が見せてくれた一曲分の音符。
創造なのかもしれない五線譜がなぞられて
一つ一つ奏でていった。
星々が降り注いで
未来を切り開いて
俺の・・・
私の・・・
朝が再び訪れる。
しかし、それは1人で起きるモノではなくなっていた。
妄想が理想が現実が
夢に物語を綴っては、世界を廻していく。
それが、小説や音楽を創っていって
売り上げて
命の糧としていく。
変わらない日常の中で騒いで
遊んで
バカやって
たまに非日常が起こるくらいで
ちょうどいいと願って
新しい扉に向かっていく。
また蒼い青い夏がやって来る。
闇に包まれた空に響いた想いを
歌にして
音にして
形骸化して・・・
「なんやかんや・・・ヒットして、お金が入ったよね。」
「ホントにな。ただ空耳で聞こえたのを頑張って手繰り寄せて適当に創っただけなのにな。」
「でも、作者はそれを考えてないから・・・」
「あ~!!あ~!!それは言うなぁ~!!」
作者のメタネタはアカン!!なんて俺の悲痛な叫びと輝夜の笑い声が喧騒の都会に高らかと聞こえた。
鮮明に残っている一つ一つの思い出が
全部全部・・・星と共に
未来永劫輝き続けるように。
小さくてそれでも大きすぎる些細な夢を
少しだけ神様にお願いして
幕は降ろされた。
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