創造の五線譜

 幻想は崩れるのがセオリーと決めつけた。ある日の俺。


 自信が無くなっていくほどにその言葉を何度も・・・何度も言い聞かせていた。


 葬りたいとも思った中学時代。


 何度も何度も後悔を重ねた。


 そして今想いは解かれた。


「・・・えっと。これは・・・どう反応すればよいのか・・・」

「ご、ごめん。輝夜。」

「い、いやっ!問題ないよ!!(実際私も告白する予定だったし。)」

私と彼の間には闇の間に少しの壁が出来上がっていた。それでもこの話題を私は切り上げたくなかった。

「・・・でも、返事は「待って。言わせて。」

「っ!?」

話に強引に割り込み私は返事をすると決めて小さく・・・小さく指1本1本に力を込めた。

「わ、私も・・・星斗のことが、好きです。」

「!!・・・そ、それって。」

「うん、おんなじこと考えてると思う。」

両想い。その言葉の響きだけで見えない顔でもわかるくらいに顔を赤く染め上げた。


 創造は五線譜を作った。


 誰にもわからない音を奏でて独特のメロディーを刻む


 明日が明るくなる。よりも何処か、儚く鳴らす。


 現実なのか?


 幻想なのか?


 夢のようで気まずい時間が過ぎ去っていく。


 天空には流れ星。


 地には五線譜。


 対局でもない2つが混ざる。


 関係のない世界が


 今、恋を通して


 調和された。


「「・・・」」

「な、なぁ。輝夜。」

「う、うん。何かな?星斗。」

「もう一回・・・ってか、やり直していいか?」

「へっ?何を?」

「・・・告白。」

「あっ・・・あ~。」

2人は、少しずつ話すようになってから夜は更けてさらに更ける。声が段々透き通って聞こえやがて、途切れ途切れだった話し声が、少し前と同じように戻る。

「だ、ダメか?」

「う~ん、それはそれでいいと思うんだけど・・・さ~。」

「なんでそんな変なとこでためんだよ?」

「えっ!?ツッコむとこそこ!?」

告白のやり直しか否かで痴話喧嘩じみたことをして、少しだけ、笑った。

「じゃあさ、星斗。こんなのどう?」

「・・・あぁ、それでいいな。」

・・・少しだけ沈黙が訪れた。そして揃って2人は口を開き始める。

・・・・・・・・・

・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・・・

・・・・・

・・・・

・・・

・・

奏でられた五線譜は流れ星と共に終幕を迎えた。

「「はははははは!!」」

笑い声が、高らかと聞こえた。そして、彼らは額と額を重ね合わせて静かに笑みを浮かべる。2人がどうなったかは簡単だろう。

月明りが、祝福をするように輝きを強めていく。

その夜は少しだけ特別で嬉しい日になったのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る