夜伽話のヒロイン

 俺の世界にはいつも少女がいた。その少女は、小学校まで俺といつも遊んでいて、笑って泣いて・・・時には喧嘩もして仲良くなっていた。まぁ、ご存じだろうが、輝夜のことだ。

 しかし、その楽しかった時間も中学時代に終止符が入れられる。それが、男女によくある思春期で、男子と女子が遊んでるとカップルだ何のと持て囃される奴だ。中一の時に、俺と輝夜はそれを受けて、少しの間、疎遠になりそしてぎくしゃくした関係が3年続いて・・・やっと、届いた。想いを向けるための銃口が。

「・・・絶対に、絶対に言うんだ。俺の気持ちを。」

静かで、根暗で引っ込み思案だった俺を救ってくれた彼女に。あの日のあの時のあの夜の寂れていたこの世界を照らしてくれた。あの日が・・・


「よっ!」

「・・・はぁはぁ~・・・」

「って、何か疲れてない?輝夜。」

「まぁ、走ってきたから。」

「・・・ストイックだな。」

いや、違うが。ただ彼女は、想いを伝えること。そして過去を想いかえしているうちに早く会いたいという衝動に駆り立てられて走っていた。

「いや、別に。ただ私は・・・から。」

「ん?何か言ったか?」

「//っ!・・・うっさい。」

「あっ、はい。スンマセン。」

しかし、2人の話し方は、約束した人は少しだけ違っていた。たどたどしかった会話が気が付けばラフになっていた。


 様々な御伽噺にはフェイクと真実が織り交ぜられて私たちに伝えられている。


 その声を答えるのは私たちで合って私たちではない。


 姿を知ることこそが全て。


 御伽噺のヒロインが結ばれるエンドに向かうのか


 それとも、真実を知ってしまうのか。


 蒼い夜が飽和する。


 夏の世界が支配したこの夜に・・・


 そして、輝夜と星斗は山を静かに登る。

「なんか、懐かしいね。」

「・・・そうだな。十年くらい?」

「ふふっ!そこまで、言って無いよ。作者曰く、5年だって。」

そこは、暴露しないでほしかった。(作者談)しかし、順調に山を登り続けて、2人は少しだけ湖のほとりで休憩を始めた。

「ふぅ~。結構、歩いたね。」

「そうだなぁ~・・・ここじゅっ・・・5年前とそんなに変わってないや。」

「だね。」

少し夕焼けが沈みかかり始めて満月の輪郭がうっすらと見え始めて、水面には月明りが灯る。

「「・・・・」」

その風景に2人が見とれていた時だった。少しだけ真っ暗な山が明るく燃えた。

「あっ!星斗っ!」

「・・・な、なんだよ!?あっ!!」

この2人は、指をさして、立ち上がり、ほのかに輝きを産んだ蛍を視認した。


 そして、静かですこし恐ろしくも見える森の湖が幻想郷のように変貌を遂げた。


 その時、2人の頭の中では再び過去の回想たちが巡り巡っていた。


 

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