第4話

(私に告白してきた女の子はどう思っていますか?)

 現れたのはカップのペイジ、正位置。

 男性が手にカップを持ち、水際に立っている絵が描かれている。


 依音は、パラパラとタロット占いの本をめくった。

 知識が頭に入っていないので、いちいち本を開かなくてはならない。

 将来はこんなことをしなくてもリーディングできるようになるのだろうか。

 まどろっこしく思いながらページを開けると、そこにはこう書いてあった。


『相手はあなたに好印象を抱いています。

 年下の相手に好まれています。

 無邪気な気持ちであなたのことを知りたいと思っています』


「うわっ、当たってる?」

 驚きを隠せない依音は、思わず声に出して言った。

 だが、その事実だけ確認しても意味が無い。

 依音が知りたいのは、その先のことである。

(すいません!この先どうしたらいいかが知りたいです!)

 再び念じながらもう一枚カードを引き抜くと、ペンタクルのエースが正位置で出た。

 もくもくした雲のようなものから手がにょきっと生えており、コインを持っている。

 そんな不思議な絵の描かれているカードだ。


『新しいことが始まる。

 これまでの結果が実を結びます。

 チャンスを掴んで第一歩を踏み出しましょう』


「新しいこと?一歩踏み出す?」

 依音は意味が分からずにただじっとカードを見つめていた。

(ごめんなさい!ド素人の私には読み解く力が足りません!もう一枚引かせてください!)

 困り果て、依音は更にもう一枚カードを引いた。

 出てきたのはソードの二、正位置。

 剣を両手に持った人物が、身体の前でクロスさせている。

 なぜだか目隠しされているのが不気味にも思えるカードである。


「素直な気持ちを抑え込んでるんじゃない?平和であるために、自分の気持ちを隠してる」

 後ろから母の声がして、依音は振り向いた。

 ごめんごめんと言いながら、母は笑っている。

 問題から目を背けるのは良くないよ、と言いながら。

「ちょっと!急にビックリするじゃん!?」

「だから、ごめんって言ってるでしょ~?」

 申し訳なさそうに笑う母に、依音は唇を尖らせた。

 改めてカードの方に向き直り、考えてみる。

 やはり、はっきりさせた方がいいのだろうか。

 できることならこのままこの問題は避けて通りたかったが、依音は顔を曇らせながら考え込んだ。

 まぁ、駆け出しの自分の占いが当たるかどうかというと精度に問題はありそうだが。

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