復活——緋色の狼
「おーい。
「
(いえ! カモカモ先生、授業はちゃんと聞いてました! ……ハイ?)
ぼやけて見える
「なに、踊って……んの? 先生」
カモカモ先生がいた。ヘロヘロなしゃべり方で、ボケた質問をする
実際、カモカモ先生は華麗なステップを踏んでいたけど。
「ダメだよー、
軽いなー。
カモカモ先生は手に持っている
「このお
「ここに貼るなー!!」
「あれ?
腕と足をブンブン振り回す。周りも、はっきり見える。
「
「あの子たちにも
カモカモ先生が、太く渋い声で淡々と説明する。たんタカタン。ずーっとステップで
やっぱりなんか軽いなー。
「ななな何で先生にそんなこと分かるのー!?」
「どどどどうしてここにいるのー!?」
「ううう牛鬼をやっつけられるのはー!?」
矢継ぎ早に「!? !? !?」を発射する
キラーン。
カモカモ先生の目が光る。
「それはだね」
太く渋い声が、キリッ!
何十匹かの
「お前たち、うるさい」
ペシっ。一匹を、片手で軽くはたく。
全部、消し飛んだ。
「そこも邪魔」
その手を続けて振って、別の
「シッシッ」
数十匹が吹っ飛んで消滅。
「と、このように。かわいい生徒のためなら、先生は強くなれるんだ」
も一度、キリッ!
口アングリでうんうん。いや、説明になってない。
「次は
「おれが、とっとと? ね、ネクスト?」
カモカモ先生の言葉に
カシャカシャカシャカシャと
「怒ってるなー」
カモカモ先生、のほほん。
「最初よりすっげえ大きくなってる。せ、先生?」
なんか足が増えて、40本くらいになってる。もっと強くさせてどうする。抗議の目でカモカモ先生を見る
まったくどないせえっちゅうんじゃ。
二人を狙って長い足が振り下ろされる。その先には太く鋭い爪が。
「とりゃ」
グーで殴る先生。ボッキリ折れた
今度は横から、しなる別の足が襲いかかってきた。
「ふん!」
素手でつかみ取り、力を込めてねじる。先生の腕の筋肉が盛り上がった。
ねじられた足が砕けて消えた。
「先生がやっつけてくれたら
チラッチラッ。
「これは
だから、どうしろと。どこに向かわせるつもりだ。
「危ない! 先生、後ろ!」
背後から先生に鋭い爪が襲ってきた、その瞬間。
「あ、出来ちゃった」
「
「
「ああ、そうそう。
次から次へと
最後の2本が同時に攻めてきた。グーに思いっきり力を込める
「これは
パンチが根本から2本の足を引きちぎる。粉々に飛び散った足が消えていく。
足が全て無くなった
「
「
「
そこからブスブス煙がのぼる。燃えて、紫色の炎の山となっていく。
「やった! カモカモ先生!」
「大したもんだよ
パチパチパチパチ。拍手で、ひとりウェーブをするカモカモ先生。
手を打ちながら屈伸運動をするだけの、ただのオッサンになった。こんなオモチャがどこかにあったような、なかったような。
「あれ。
「うーん、先生も考えが甘かったかな?」
と、カモカモ先生。
「じゃあ、あの
あいつをやっつけるしかない。でも……。
あの
「焼き払うかい? 方法はある。手助けは出来るよ」
カモカモ先生が
どうする、
紫色の炎から嫌なにおいが漂ってきた。
嫌な考えも浮かんでくる。
〝紫色のあいつ〟がこのまま見過ごすはずはない。早く何とかしなければ。
炎が突然、舞い上がった。紫色の炎が一気に大きな火炎の玉に。しつこい。
「決めるのが遅いよ、
カモカモ先生は静かに叱る。
「あ、あの、先生」
先生の言葉に、戸惑う
紫色の火炎玉に顔が浮かんだ。去年見た、顔。右目の炎がどす黒い。歯をむき出しにして
[どうだい? 勝ったと思っただろう? 昔から生っちょろいなお前は]
去年、感じた声だ。〝紫色のあいつ〟の声。以前に、
今、あいつは初めて自分の声で喋った。
(この顔が、
『絶対、みんなを
カモカモ先生はしっかり、
紫色の顔から、網の目のように腕が突き出た。何百本もの腕が複雑に交差している。
[あの時の再現だ。
腕たちがいっせいに向かって来た。速い。
右の手のひらをかざすカモカモ先生。はじいた。迫る次の腕を左手でたたき切る。
「お前は昔からそうだ。相手を、見下し過ぎる。だからお前はあの時、〝負けた〟。〝もう、
と、先生はあいつに言いながら。べコン! バキバキバキ。
カモカモ先生は街灯のポールを引き抜いた。つかんだ部分がへこむ。バッキン。2本に折ってうちの1本を
「
「
二人が走る。あいつの腕を断ち切りながら
どんなに攻められても
紫色の顔が紫色の火炎を吐く。
「
「これで、どうだあ!!」
放たれたポールは幹にある縦のくぼみに突き刺さった。
「
カモカモ先生が
「気を抜くなよ。後ろから狙われたぞ」
「ごめん先生。
痛みで震えてるように見える。赤い花が散る。紫色の顔もしぼんで小さくなっていく。
無数の腕は芝生の上にパタパタ力無く落ちた。
「これで——」
言いかけた
「イタたた。先生?」
顔を上げて先生を見る
「先生も気を抜いちゃったな」
彼がよろけながら立つ。
「まだまだ、終わってなかったよ。そうとうな〝
右胸に、あいつの腕が刺さっていた。こいつから
カモカモ先生の
[動けなくしてやるって、言っただろ? これから心臓も動けなくしてやるよ]
「先生!」
「今、助けにいくから! 武器! 何か武器は!」
あわてて見まわす
先生の後ろに、小さい紫色の顔が。口を開けながらまた大きくなっていく。口の中にたくさんの牙が伸びてくる。
「待て。そこから出るな」
「
「こんな時になに言ってるんだよ先生!」
牙を生えそろえた紫色の顔。
「お前たちがここにいる、この世界に生まれてきた理由はすぐに思い出すさ」
がんじがらめになった手で、首から錆びた鈴を引きちぎった。
それを、ゆっくり
『
鈴を、
紫色の大きな口が、カモカモ先生を飲み込んだ。声も出さずにいなくなった先生。
[なんだ、もう終わりか。つまらん。あんまり美味くないな]
紫色の顔が、でっかい舌で口のまわりをベロン。
「先生 !!」
ただ立ちつくす。何度も感じた、聞こえたあの声。
「カモカモ先生だったんだ」
彼は最初から知っていた。見ていてくれた。
[
ヘラヘラ笑う紫色の顔。完全に見下している。
鈴に触れる
リン
鳴ることのなかった鈴の
鈴を拾って握りしめる。
リリン リリン
止まることなく広がる鈴の
ずうっと
リリン リリン リリン——
やさしい
(
[今さら無駄だよ]
そう言うと紫色の顔が、牙を
リリン!
ひときわ大きい鈴の
鈴を見つめる
(そうか……。どんな
小さい頃から
(えーと。たしか、ちょっとだけ変えるんだったな)
「
「
「
「
「お
「
鈴を持って大きく
リリリリン !!
鈴の
指先から腕、
胸には首飾りに見える輪っかを備えた、
見つめていた
「
「
夢で見た、
紫色のあいつ。
自分のこと。
紫豪とは〝
そして、
二人は、その魂が人となって生まれてきた。
「
[お前はあ! どこまで邪魔をするうううう !!]
リリン!
「
[滅ぼしてやるううあああ !!]
「
カモカモ先生の
「
立ちつくす
「
戸惑っている、
えぐれた部分にダメージがあったのか、
〝
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