四色の光・十二色の切り札
手? 足? 八本ある。それの先に、太く、長い爪が一本づつ、のびている。
地面をはうように走ってくる。クモの姿だ。顔は、鬼。
体の長さは2メートルほどか。
「
壱がマンガで読んだ妖怪に似ていた。思わず口走る。
「ムッキーィィィィ!」
「あ、壊れた」
「
「
「
悪口を
「
これは
おお怖……。
「
ミシミシ形がゆがむ。しかし、平気な顔で蛇を引きちぎった。
赤いアゲハ蝶はまだ四人を
「腹が立ったあ! なに笑ってんだっっっよ!」
やつの顔めがけてグーパンチ。
「お前もだよ!」
もうひとつにパンチ。ヤツたちは吹っ飛んだ。でも効いてない、むっくり起き上がって
「
何回も光を放つ
「おれじゃダメなのか!」
最後の
突然、芝生がはがれた地面から泥が吹き出す。また2匹が出現した。
「多分、すぐ消されるはず。残念だけど」
「
四対四でにらみ合う。
その光景が、すさまじい。互いが互いに噛みつき、けり上げ、なぎ倒す。
芝生はちぎれて舞い、泥が飛び散り地面は地震のように激しくゆれた。
「これで
冗談を言う
ガクッとひざを着いた。
「
あわてて支える
「大丈夫? どうした急に」
「ごめんなさい。こんな時に」
「
「ごめん。おれが頼りないから……。横になる?」
「大丈夫、気にしないで。まだ油断できないから」
ひどく辛そうだ。
「これで少しは楽かな?」
腕の中で
「ふふ。ありがと」
彼の首に両腕をまわしてギュッ。
「これで
「いや、まあ、そのあのなんだ……。
目が合った二人はうなずく。
(お願い)
(頼む)
輝く
四つの光は
残った
「終わった。けど……」
「……
「なんか、かばってるような……」
「えーと。ラスボスは、実は
風が強く騒ぎだして、木が震え出した。幹も枝も花も激しく狂ったみたいだ。
黒色に近い紫色の粒だ。ブンブンとけたたましい音が響く。
「なにあれ。
「〝紫色のあいつ〟は、
粒は集まって一つの大きな塊になっていく。長い角が生えた。
それはやがて、
さっきの奴らとは大きさも、形も違う。クモの姿だが
その姿を見たら普通の人はきっと、あまりの恐怖で動けなくなるだろう。
「で、デカすぎる。腰が抜けそう」
思わず声をもらす
「やらなきゃ」
疲れ切っている
「……
「一緒に?」
うなずく
「
「
彼女は大きく息を吸いこんで、叫ぶ。
「
騰蛇(とうだ)・朱雀(すざく)・六合(りくごう)・勾陣(こうちん)・青龍(せいりゅう)・貴人(きじん)・天后(てんこう)・太陰(たいいん)・玄武(げんぶ)・太常(たいじょう)・白虎(びゃっこ)・天空(てんくう)。
かつて
ちなみに、仏教の
大きな
相手がいくら大きくても、1匹。こちらは
竜巻がおこり、稲妻が走る。炎が踊り、氷が弾丸のように飛ぶ。割れる大地。引き裂かれる雲。
「これなら勝てるかな」
「お願い、よ。勝っ……て」
「
1匹が2匹。2匹が4匹に——体は小さくなっていくが、数は増え続ける。
「しっかり!
「何だコレ」
よろける足。
実感した。やっと。
〝
扱う
「クッソおおおお!」
自分の弱さに声を荒げる。足をふんばる。
「大丈夫、よ。私は……大丈夫……。無理しないで——
数え切れないほど分裂した牛鬼が、
「! ! ! !!」
絶叫する
「決めた」
決断する。
腕の中で気絶している
左手で
「
「
「
「
「
「お
「
〝自分の
目がかすんできた。ヨロヨロと座りこむ
「ああ。
「おれ、父さんと母さんに、ここにいること言ってたかな」
たくさんの
「助けに来てくれないかな」
もう、見る景色がぼやけている。カシャカシャ、カシャカシャと地面をはう音が聞こえた。
「うん……。他力本願だ。みっともないな、おれ」
意識が遠くなる
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