真っ白カモカモ先生・これまた真っ白の、学
「おはよう!
人体模型にあいさつする
「おはようゴザいマス、
シュタッ! と右手を上げて返す
「なに人体模型にあいさつしてんの?
クラスメイトの女子が気味悪がった。彼女からは
「おはよう」
「おはよう」
「おはよう」
「変! 四人とも変な
男子が叫ぶ。
「そこの
どどどよ〜んな表情のカモカモ先生が仁王立ちで
「おはようございます。先生。そうなんです! ぼくたち、みんなカバンを忘れて帰ったんですー。間抜けでしょう?」
「いやそうじゃなくてだな」
「わたしなんか、帰ってからご飯食べて、お風呂に入って、寝る時に気づいたんです! もう自分で笑うしかない!」
「おれは学校に来るまで忘れてた! ま、いっか」
「
あっけらかんな
膝からくずれ落ちるカモカモ先生。頭の中と、顔色が真っ白に。一言ポツリ。
「このバカチンどもがあぁ……」
燃え尽きたぜ、真っ白に。
人体模型の学はボソリ。
「
目に涙をためて笑いをこらえた。涙は出ないけど。
で、放課後。理科準備室で
さらに。カモカモ先生から、月曜日の事件について、四人の行動は父兄たちには伏せられることになった。校舎の壁は自然に崩れた。体育館は地盤沈下で。
ということに職員会議で決まったらしい。信じにくいが。
子供から
事実を知っているのは五年一組のみんなだけだ。一応、校外の人には喋らないように言い聞かせてある。彼らは快く協力してくれた。
他の生徒たちが覚えていないのは不思議だが、まあ何かの力が働いた。ということで、どうかひとつ、明日もヨロシこー。
「ああ。疲れた。こんなに叱られたの久しぶり」
「仕方ないよ。先生との約束、忘れたのはぼくたちなんだから」
「私は新鮮だったわ。日本の先生ってああやって怒るのね」
「おれは聞き流してた。ほら、爺婆に豆腐ってやつ?」
「それを言うなら、馬耳東風」
五年一組に誰もいないのを確かめた
「……。
「わたしも気になってた」
「ぼくも。バタバタしてたから聞けなかった」
「んー。今日は、やめにしない? 二人は疲れてるし、日をあらためた方が。ちょっと重い話しだから……。
「そっか、残念……。そうだ! 気分転換に、みんなでピクニックに行かない?」
「今度の土曜か日曜。
「
「おお! 今までのこと、忘れようぜ」
「五日まで休みだし、毎日ピクニックだ」
調子に乗る。
「ありがとう、みんな。この町のいろんなところ、もっと知りたい。どこ? どこ?」
教える
「
「ここからも見えるよ。ほら、あれ」
木々が茂る小高い丘の上に、少し開けた場所がある。そこにはポッコリと大きな木があった。
理科室の窓からもよく見えるほど大きくて太い。今はまだ葉は生えていない。赤い花が咲く時期だから。学校からは、木の全体がうっすらと赤く見えた。
「
(
(
守の目がキラーン。
(これは。公園で二人きりにしないと)
「当然お弁当を持ってね。もう、ダブルデートよ」
「めめめめ、めっそうもない。ダブルデートって何? おいしいの?」
「……」
「……」
「
「みなサン、楽しソウデスネ」
「え?
みんなで振り返ると。
「びっくりした。いつの間に?」
「忍びこむノハ、得意中ノ得意デス」
えっへんと胸をはる。人体模型の姿で。なんのためのスキルだ。
「そうだ。
「アッ。イエ、コンナ姿でハ、やばいデス」
あわてて考え直す。
「えー? いいじゃん。気にしないよ」
「イエイエいえいえ! ソウデハなくテ」
「変でスヨ! 人体模型とキャッキャウフフの光景ハ!」
「町の人タチニ見らレタラどうスルンデス!」
顔を真っ赤にしていた。見えないけど。
「せっかく友達になれたんだから、この機会にもっと仲良くなりましょうよ」
「うん」
「うん」
「うん」
三人も賛成。のほほん。
みんなは本気で、そう思ってる。
ガッチョン。台座の固定器具がはずれる音。
「このバカチンどもガアァ……。うれシイけド……」
カモカモ先生の気持ちが、わかった
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