黄昏色の帰り道・夕焼け色の、あまちゅっぱい二人
大騒ぎの後の、夕方。
「今日は一日が長かったー」
大きく伸びをする
学校は午前で休校になり、生徒たちはすでに帰っている。
同じことを、何度も何度も何度も聞かれてHP(ヒットポイント)も時間も取られた。
クラスのみんなも、きっとそうだったのだろう。かなり疲れた。
(明日も、
黄昏色の校庭で、あれこれ考える。
(今日の
壱はピタッと足を止めた。校門に誰かいる。
「
〝ドッキン〟彼の心臓が……。
「おかえり、
「そんな、
「一緒に帰りましょ。途中まで、送って。ね?」
「う、うん。いや、家まで送るよ。もう遅いし」
ギンギンギラギラの夕日はまだ十分、明るいし。これは彼の言い訳だ。
彼は、気づいたのかもしれない。
並んで歩く二人。その姿が、夕焼け色に染まる。
「……」
「……」
「今日は、すごかったな」
「……」
「ヒヤヒヤだったわ」
「……」
「私たちの言ったこと、警察の人は信じてくれるかしら?」
「……」
「うーん。普通は信じられないよな。だって、同じこと何回も聞いてきたから」
「……」
「ふふ。あの顔は絶対、信じてないわね」
「ハハ。確かに」
「……」
「……」
しかし、会話のネタが尽きてしまった。お互いに黙って歩く。
彼にチャンスが来ているかも。言うのか? 言えるのか?
「その、なんだ……。待っててくれて、嬉しいな……」
精一杯の言葉。今はこれが限界かもしれない、勇気をふり絞り切って、絞りカスになりそうな小学生男子がいる。ドキが胸胸、いや、胸がドキドキ。
ゆっくり豊かな時の流れ。あまちゅっぱい二人。——こーれーは、たまらん。
「な、何か?
ちょっとあわてる
「んー。別に……。
そう答える
黄昏色の道に、デコボコの影がふたつ。デコからボコへ伸びている影。ゆっくり歩いて行く……。
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