第11話
幽霊は封印された。
神主の指示でお守りのようなものがすべて綱から業者によって回収され、それらはもとの大きなバッグに収まった。
神主が校長に言った。
「あの柱と綱は、私たちにはもう不要ですので好きにしてください。それでは私たちはこの辺で」
五人の神主はその場を後にしようとした。
しかしそこに立ちはだかる者がいた。
大勢の報道陣たちである。
神主たちはあっという間に取り囲まれ、カメラを向けられ質問攻めにされた。
いつものように小競り合いも起きたが、神主たちは嫌な顔一つせずに質問に答えていった。
なにせ報道陣の数が多いし、海外の報道陣は通訳を使って質問してくる。
神主たちは同じ質問に何度も答えなければならない状態となり、取材は長時間にわたったが、五人はいつまでも穏やかに答えていった。
その夜、世界中の国の多くがこのニュースをトップで取り上げた。
海外では日本のエクソシストたちが悪魔を払ったと報じられた。
日本では早速肯定派と否定派の討論番組が組まれた。
肯定派は数多い証言と映像を武器に否定派に迫ったが、否定派は集団幻覚だ捏造だと前回と同じ反論を売り返すだけで、やはり議論にはならなかった。
しかし肯定派も否定派も、へたな芸人よりも面白いと、視聴者には好評だった。
もともとテレビ局が専門知識よりもリアクション重視で人選しているのだが。
視聴者にはこの事件の真実を見極めようなんて人はほとんどいない。
ただ面白ければいいのだ。
ある番組では神主にスポットが当てられた。
わざわざ神道の専門家を呼んだのだが、彼には神主がやったことの詳細も、神主が唱えていた呪文の意味もわからなかった。
そして挙句の果てに専門家は「あれは本当に神主ですか。あの人たちはいったい何者なんですか?」とアナウンサーに聞いた。
もちろん一介のアナウンサーに答えられるはずもない。
とりあえず、一部の神主に伝わる秘密の儀式という点で落ち着いた。
とにかく手を変え品を変え、三日と開けずにこの事件の特番が組まれたが、視聴率が落ちることはなかった。
後日談。
封印の儀式を行った神主はもちろん、有名人になった。
学校近くの神社も、そして四国、近畿、東海、東北の四人の神主がいる神社も、日本中、いや世界中から人が押し寄せた。
すべて小さな神社だったので、神社内に人が収まりきらずに外にまで人があふれるようになった。
警察が出動したのも一度や二度でない。
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