第9話

やがてすべてのお守りが綱に取り付けられた。

「これは何ですか?」

校長の問いに神主が答える。

「さきほども言いましたが、結界です」

「結界?」

「そうです。女はこの中に入ってくることはできますが、出てゆくことはできません。すごく特別な結界です。今は女はいませんが、帰ってくればここに女を閉じ込めることができます。そして女をこの箱に封印します」

神主は箱を取り出した。

手のひらに乗るくらいの、なんの変哲もない小さな木箱だった。

「それでは結界の儀式を行います」

すると五人の神主が集まった。

五人は背中を向けた状態で円形に立った。

そしてなにやら呪文のようなものを唱え始めた。

校長にはいったい何を言っているのか、さっぱりわからなかった。

十分ほども唱えただろうか。やがて神主が言った。

「結界は完成しました。あとは待つだけです」

その時、五人の神主が一斉に同じ方向を見た。

「噂をすれば」

「実にいいタイミングだ」

「いつまで待つかと思っていたが」

「仕事が早く済みそうだ」

「早速とりかかりますか」

校長が聞いた。

「どうしました」

神主が答える。

「今女が学校に入りました」

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