第8話
「なんです」
神主はどこからか紙を取り出すと、それに何かを書き始めた。
書き終わると校長に渡した。
校長はそれをしばらく見て言った。
「この程度ならそれほどお金はかからないでしょう。この事態を収めるためだと言えば、おそらく予算は出ると思います」
「そうですか。できるだけ早く作ってください」
「いいですとも。おい、この穴を埋めてくれ」
四人は穴を埋め始めた。
報道陣はずっとそれを見て、カメラで撮った。
しかし報道陣は穴の中になにがあったのかはわからなかった。
学校の塀を避けるために高い位置にカメラを設置していたが、離れた場所のなおかつ2メートルの穴の底までは、見ることもカメラに収めることもできなかったのである。
翌日から工事が始まった。
そして穴を掘ってから二日後には完成した。
そしてその時には神主は四人増えて、五人になっていた。
全員顔も体格も年齢もばらばらであったが、やけに眼光が鋭いという共通点があった。
「この人たちは?」
「私のつてを使って、全国から来てもらいました。これほど広い範囲に特別な封印を張るのは、並大抵ではないですからね、ところで例のものはもう出来上がっているようですね。業者も待機しているようですし」
「ええ、言われた通りに作りました」
神主の眺める先にそれはあった。
学校の塀のすぐ内側に、四隅を中心としてぐるりと取り囲むようにいくつもの細い木の柱が建てられていた。
その高さは3メートルほどだろうか。
そしてその上部には学校全体を囲むように、綱が張られてある。
神主は大きなバッグの中から何かを取り出した。
それは大量のお守りのようなものだった。
いつも見慣れたお守りよりも大きめで形も少し違ってまるで野球のホームベースを逆さにしたようなものだったが、それでもお守りにしか見えないものだ。
そして五人の神主たちは、待機している業者にそれらを渡し、神主たちの指示のもと、それらが綱の全体にまんべんなく取り付けられはじめた。
報道陣たちはそれをずっとカメラに収め続けた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます