第2話
返りたがらない生徒は半ば強引に連れ戻した。
授業どころではなくなっていたが、それでも通常の授業を続けた。
普段のように大人しく真面目に授業を聞く生徒など、一人もいなかったが。
後で調べて分かったことだが、四年B組の隣の教室、四年A組と四年C組の生徒で窓の外を歩く女を見たものは誰もいなかった。
あの死人のような顔の女は、四年B組の外だけを歩いていたのである。
もちろんこのことは学校中に広まった。
そして生徒の親やその知り合いまでも。
もう学校に行きたくないと言い出す生徒が何人もいたので、四年B組の生徒は一時的に音楽室で授業を受けることになった。
それでも嫌がる生徒は、先生と親が言いくるめた。
――なんだかんだで、とにかくおさまったのかな。それにしても。
あの女は一体何だったのか。
四年B組の生徒が全員見ているし、先生も三人がはっきりと見ている。
とても見間違いや勘違いとは思えない。
その時、校長の脳裏にあのお札のようなものが浮かんだ。
――まさか!
もしかしてあれを取り除いたからだというのか。
わからない。
わからないが全く関係ないとは言い切れない。
あのお札は校長と業者しか知らないことだ。
業者が言いふらすとも思えないので、校長はとりあえずお札のことは誰にも言わないでおくことにした。
前回も何の前触れもなく突然だったが、今回もそうだった。
体育館で三年生の2クラスが授業を受けていた。
その時、体育館の壁からあの女が現れたのだ。
壁をすり抜けた瞬間を見たものはほとんどいなかったが、そのうちの一人の女の子が悲鳴を上げたので、そこにいた全員が女に注目した。
女はゆっくりと歩き、おまけに体育館の床を無視してまるでゆるやかな坂をのぼっているかのように、その体が徐々に上へと上がっていった。
中にいた生徒はパニック状態になり、次々と外に飛び出した。
二人いた先生も体育館から出てしまった。
女は少しずつ高度を上げながら、やがて反対側の壁を通り抜けたが、その時には体育館には誰も残っていなかった。
二度目の騒ぎ。
校長は頭を抱えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます