出会いと衝撃
チョコレート色のカワイイ子犬は、真剣にこちらをじっと見ていた。
そんなチョコレート色のワンコに私の心は、一瞬で射られた。
いや、カワイイ!めちゃくちゃカワイイ!犬ってこんなカワイイんだ?
「どうしたの?璃子?なんか気になるのでもいた?」
智花が声をかけてきた。気になるどころじゃない、もうこの場で引き取りたい!
「気になる子がいたら、ぜひ引き取ってね。ワンちゃんも嬉しいと思うよ!」
結城さんが話す。
「この子は、河川敷の草むらで、弱々しく、丸まっているのを保護されたんだ。」
「えっ・・・この子、野良犬だったんですか?!」
「そうだよ。心無き飼い主に捨てられて、それで野良になったんだ。」
私は、犬が飼い主さんに捨てられて、こうなったなんて全く考えなかった。
「なんで・・・なんで捨てちゃうの・・・?」
「理由はいろいろあって、かわいくなくなっただとか、毛が抜けるのが嫌だとか、
子供をたくさん産んだから路頭に迷っただとか、いろいろあるんだ。」
そんな犬や猫がこんなに並んでいるなんて。実に30匹はいる。
「捨てられて、飼い主が見つからなかった子はどうなっちゃうの?」
「それは・・・もうダメだってなって、ころ・・・殺されちゃうんだ・・・」
智花が結城さんの代わりになって説明した。え、殺される?なんで?なんで
殺しちゃうの。いい方法は、ないの・・・。
「できれば、殺せずに引き取ってもらえたらいいんだけど、どんどん
保護犬や保護猫が来るし、あんまり長い間置いておけないの。」
智花が言っていることが、ウソだったらいいのに・・・。
ハフハフハフ、さっきのワンちゃんが息をしているのが、なぜか悲しく思えた。
「この子が気になるの?この子は、あと3日で飼い主ができなければ殺処分なんだ」
悲しく思えるのは、これのせいだったのかな?チョコレート色のチョコが殺処分?
そんなの嫌だよ・・・。気づけば、チョコって名前まで付けちゃってるんだもん。
悲しすぎる。この子を救いたいよ・・・。
「璃子、泣いているの?」
「ともかぁ・・・、飼いたいけど家は変えないの・・・どうすればいい?
助けてあげたいよ!!」
「璃子・・・」
チョコがあと3日で殺されちゃうかもしれない・・・そんなの嫌だ・・・。
でも、私は、話し上手じゃないし、生き物がそれほど好きなわけでもない、
さらに、両親が犬猫反対。ああもうどうすればいいんだろう?チョコ・・・
あなたはどう思ってる?そりゃイヤだよね。数日後に殺されるなんて。
私がもっと頑張れたらチョコを救えるかも・・・。
「よし分かった!私が協力してあげる!!任せなさ~い!!」
「智花・・・!」
「そうとなれば僕も!」
「結城さん、智花・・・ありがとう!!」
私は泣きながら笑った。こうして、チョコ救出作戦が始まった。でも、運命は、
それほど簡単に変わるものではなかった。
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