30

「…ハッ!」

寝てしまった。


自分では自覚していなかったが、徹夜で殺し続けていたせいで体は疲れていたのだろう。

いつ寝たのかすら分からない。


「お、起きたか?朝飯まだだろ?おい。」


視界に写っている木目の天井の端っこに金髪アホ毛が見える。かわいい。


「ん。おはようローズ。朝ご飯は何?」

「卵スープと黒パンだ。本当は寝坊した奴はメシ抜きだってのに… たく。」

どうやらメアリーからのご好意らしい。感謝していただくとしよう。


パンに手をつけようとした時、部屋のドアが開いた。メアリーが来たようだ。

「タイミングがいいなメアリー。それもお得意Magickか?」

「フフフ、残念。私の時はMagickとは言わないのよ。」


へぇそうなのか。と言う事は魔術結社の有名どころ『黄金の夜明け団G.D』ができる前と言ったところか。

僕は結構なオカルト好きで色々と調べたことがある。

元々はとある小説を読んで興味を持ったが、『黄金』について知ったのもその時だ。


『黄金』


それは近代魔術に置いて最も有名な一つであり、現代における占い、異世界ファンタジーのゲームなどに欠かせない一つとなっている。


今の日本のカルチャーの一部は彼らが居なければ無かった物もあると言えるほどだ。(その分とても問題児でもあるが。)

ちなみに、Magickとは『黄金』に所属していた人物、アレイスター=クロウリーが手品と自分の業を分けるために命名したと言われている。(諸説あり。)


そんな『黄金』の始まりに欠かせない人物がいる。それがアンナ・シュプレンゲルである。

彼女…いや、ソレについてわかっている事はほとんどないが、1つ確かな事があるとすればそれは薔薇十字ローゼンクロイツに所属されていた、と言うことだ。

本当にいるかは分からない。

だが、今のここで重要なのは、メアリーがMagickについて知っていると言うことだ。


「さて、『黄金』ができたのが19世紀末。だと言うのに知っているのはどういう事ですか?配信もそうですし。」


「それを説明するために来たのよ。あ、ローズも呆けていないで座りなさい。あなたにも話して置かないといけない事だから。」


「えっと、母さん。何を言ってるんだ?意味がわかんねぇんだけど…」

そう言いながらも僕が寝ているベットの端に座る。


「そうね、まずは何から説明したらいいかしら…いや、。」


次の瞬間だった。

世界が、歪んだ。


部屋の見た目は捻れ、渦を巻く。

ベットもいつの間にかなくなっていた。


「な、何が…!?」

「…魔術ってすごすぎだろ。」


なんて言うか、そう。常識はずれにも程があると思うんだ。


「まぁ、こう言う風にした方が色々と都合が良いしね。ほら、配信だってされていないでしょ?」

「!?」


すぐさま配信画面を確認する。

いや、出来なかった。

「…どうやって?」

「簡単に言うと外界と内界を区切った。ここは私の宿。そして工房よ?入って来た対象の解析くらいばれないようにできるわ?」

すると、そこまで口を挟まなかったローズが声を荒げた。

「な、なんだってんだよ!魔術師だのなんだの!説明だ!全部教えろ!そこにいる男!お前もだ!」


うん。彼女は正常のようだ。問題ない。


「わかった。全部説明する。」












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