28
まず真っ黒な服装をしたメディセンは影からバルカン砲を取り出して空間に固定した。
…
「フルオープンセット!起動!」
メディセンのその言葉の後に背中からいくつかのバルカン砲から死の嵐が真横に降ってくる。
恐らく1撃でも当たれば致命傷になるだろう。
だが、当たればだが。
「錬成。」
潤沢な魔力を使い、空気の性質を変える。窒素をまるで水に入れた片栗粉のように。
死が僕の目の前で止まった。
「目がガン開きじゃねぇか。そんなに驚く事か?」
「口が悪いなクソガキ。ファイヤーボール。」
赤々と煌めく炎の球体が僕の眼前に近づいている。
だが、そんな事は関係ない。先ほど錬成した空気によって阻かれる。
次はこちらから出ることにしよう。
「結界、創造。」
とてもシンプルな化学だ。まず純100%の酸素とスライムから取った可燃性物質を混ぜた物を両手サイズの壊れやすい結界に入れて、身体能力を上げて投げた。
変容させた空気を避けて。
メディセンの放つファイヤーボールの熱気によって点火した瞬間、途轍も無い轟音がダンジョン内に響き渡る。
熱や衝撃波は変容した空気のおかげで来なかったが、残念な事にメディセンの悲鳴は聞こえなかった。恐らく生きているのだろう。
____________________
やべぇ
何がヤベェのかわからないけどやべぇ
科学ってスバラシイネ
メディセンまだ死んでないってよ
無傷に見えるんだが…
なんでや?
____________________
「無傷…?」
生きてるにしても無傷とはどういう事だろうか?煙が晴れるとそこには無傷のメディセンがいた。
「おいおい、イッテェな。おい。使っちまったじゃねぇか。」
「なんで無傷なの?お前。」
いや、なんでだよ。
「あ?お前こそバルカンの
____________________
『お前ら、どっちも化け物だよ。』
____________________
まぁ確かにそりゃそうだわな。
現に、こうしてお互いに無傷だしな。
だがそんなことは気にせず、魔力を身体に循環させていく。
お互いに上半身を前屈みにして走り出す。
身体強化による殴り合い。それはもう常人の領域を軽く越えていた。
生々しい音が響き渡りながら戦いはさらに加速していく。
魔力量を無視したファイヤーボールの無詠唱。
メディセンがファイヤーボールを拳に纏わせて殴ってくるのを正面から受け止めて熱エネルギーを錬成で分解していく。
魔力抵抗が強いが関係ない。ゴリ押しで進めていく!
逆にこっちはこっちで触れた瞬間に錬成で肉体を爆発させようとしているが、そもそもの肉体の魔力抵抗、身体能力強化によって阻まれてしまっている。
ならば情報の開示と行こうか。口に出すことでスキルと魔法は格段に精度が上がるのだから!
「俺の魔法、錬成魔法は対象を読み取り弄る事ができる!そして鑑定!」
「ッ!?」
相手の魔力抵抗は貫通し、鑑定情報も細かく出てきた。
お腹の肉片を少し弄る事に成功した事によって、メディセンの顔は大いに歪んだ。
「どうした?便秘か?それともストックでも使おうっていうのか?」
「ッ!」
おいおい、驚きすぎだろう。だってほら、鑑定できたんだぜ?
「お前の『能力』
メディセンは使うと言った。
何を使うかはわからなかったが、使った様子を見ても焦っているようには見えなかった。
つまり、複数の何かが、ダメージの肩代わりをしている事になる。
それでわかった。
「だ、から?だから!?何になるというんだ!!」
「俺は死なねぇんだぞ?つまり神。意味わかる?」
「お前みたいなクソガキに何がわかるっていうんだよ!」
「ほんと、あったま悪いg「痛みはあるんだろ?」あ?」
少しずつ足を近づける。
「信者にも限りはあるんだろ?」
メディセンの足が少しずつ引いていくのがわかる。
「だったらさ。殺しに殺して殺しまくったらいいんだろ?」
お?涙を目に浮かべてやがる。おもしろ。
「gくぅい、な、何人もいるんだぞ!!??」
「だから?」
「地球でも、ここでもたくさん死ぬぞ!?」
知らん。せめてコメント欄では言うようにしよう。
“今からこいつ殺すからこいつを嫌いになってくれ”ってさ。
その日、ダンジョンでは人間のモノとは思えない程の声が響き渡った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます