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「鑑定」

「鑑定!」

「鑑定鑑定鑑定鑑定かんってい!」

只今、森に生えている植物を鑑定しまくっています。

『鑑定が2になりました。』

お、レベルアップしたようだ。

ポーションを作っていく以上、薬草を鑑定なしで見分けられるくらいにまで鍛えなければならない。そのための一歩としてまず薬となる薬草を探しているのだ。

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『で、見つけたのがこのイリン草とアイリン草なんだけど瓜二つじゃね?』

これ、見分けつくん?

ちゃんと根っこから取って来るあたり偉い

あ、葉の裏に赤い点が…ない

ないんかい

ないんかよ

『ないじゃん』

ごめんて

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まじで瓜二つ。何が違うのかわからん。

「配信を今見ている研究者さんとかいらしゃいますか?」

そう聞くと返事を返してくれた方がたくさんいた。いや、多すぎじゃね?


とりあえずその人たちに配信で360°で薬草を見させるから違うところを見つけてくれない?というと承諾してくれた方がたくさんいてくれたので頼むことにした。

こういう時こそ人に頼るものだよね。それに彼らはどうやら未知ばかりの異世界に興味心身で研究をしながら配信を見ているらしい。いや、なんか失敗してドカンとかやめてくださいよ?



………

……


「指図すんな!」

目が大きく、金髪でどこかのお姫様に見える位美人で可愛い彼女はどかどかと廊下を歩いていく。

場所は変わって石藍亭。あれからスライムとゴブリンを倒して冒険者ギルドで報酬をもらい宿に着いたところだ。

そしてわかった。この宿の接客があれな理由が。

「あ?今からメシだつぅーの。食堂に行きな。」

多分この娘が原因だ。

優しい女将さんと荒っぽい女の子。このアンバランスがこの宿の特徴だとわかった。

「あの、食堂ってどこにあるか…」

「ああ!…ってあんた今日からの泊まりの人か。しゃーねぇ奴だな。ついてきな。あ、俺の名前はローズ。ローズ=ハイドっていうんだ。覚えとけよ?あ、ちなみに食堂で暴れたら潰すから。わかったか?」

了解したというと彼女は先へと進んでいく。

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『オレっ娘だと…!?』

そこ変われ

衛兵さん。この人です

希少属性キタコレ

異世界でもオレっ娘っているんだな

あの人の娘?

まぁ接客が悪いっていうのもわかるけどさ

そこが良いとわからない異世界の男達…

あ、オレっ娘がトレンド1位になってるぞ?

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やばいなネット社会。こんなにも早くになるんかよ。


「おう、着いたぞ。」

視界を上げるとたくさんの人がそこにいた。どうやら接客が悪かろうがメシと部屋の品質はとても良いらしい。

その証拠にとても良い匂いがする。お、なんか肉が食いたくなってきたな。

「俺のオススメは今日の日替わりメニューのオークの石焼ステーキと山菜スープとチーズ黒パンだ。」


「あ、ここの黒パンは少し柔らかいってのがポイントだな。簡単に食えるぜ?」


どうしよう。めっちゃお腹が空いてきた。

口の中に味覚を欲している唾液たちが踊っている。

「じゃあ今日の日替わりメニューで!」

オッケーと彼女は言うと厨房に歩いて行く。

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俺もメシ食うわ

チーズ買ってきます

ステーキか

めっちゃ良いやん

腹へった。

ステーキのクーポン使えたっけ?

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コメントを眺めながら待っているとローズが持ってきてくれた。

「はいよ。そのオレンジのソースはステーキ用だって母さんが伝えてくれってさ。あんたそんなことも知らないのか?」

「いや〜ちょっと遠くから来たもんで…ん?」

俺、あの人のそんなこと言ったっけ?

まぁいいや。先に食べてしまおう。


まずはステーキから。

鉄板ではなく平べったい石が肉を踊らせているのがわかる。

ジュウジュウと鳴っているオークのお肉に透き通ったオレンジのソースをかけたら肉全体の香りが一瞬にして変わった。

まるで魔法のようだった。

ナイフとフォークを持ち、一口サイズに切り、口に入れると溜め込まれたうま味の洪水が溢れんとばかりに口内を満たして行く。

一口食べただけで口内だけでなく鼻までもがソースの匂いで埋め尽くせれているのがわかった。

..

.

「ご、ご馳走様でした…」

美味しかった…。

異世界にきて一番良かったことかもしれない。

この味を地球にいる人たちにも味合わせたい。そう思った。



















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