22
ドアを開けると中には研究職らしき人達がローブを纏っていた。
こちらの方を一瞬、一瞥するが何事もなかったかのようにスタスタと歩いている。
受付には一人の黒髪の女の子がおり、その子に話しかけようと決めた。
「すみません。錬金術師のギルドはここですか?」
「はい。もしかして新規の方でしょうか?」
「はい…その、錬金魔法を持っているんですが、ポーションを作ったことがなくて。それで。」
それを聞くと彼女は机の下をゴソゴソと漁り出し、1冊の本と紙を机に出した。
「ポーションを作りたいのでしたらこの『初級ポーション作り』と言う初心者向けの本がありますが…購入しますか?」
さて、おいくら万エニーだろうか?
「いくらですか?」
「30万エニーです。」
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たっか
めっちゃ高いやん
確か初級ポーションとかで3000エニーいかんやろ?
まだ物価とか全然理解できてないんやけど
それ、俺もや
ワイも
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「ね、値下げは…「できませんね」( ´ ▽ ` )ノ」
やっぱりどの世界でも世の中金らしい。
「そして、その講習会がこれです。みなさん研究の金策のためにこういった事もしていらっしゃるのですよ。」
やっぱり研究しているんだ…あと研究費なくて喘いでる所を見ると日本を思い出してしまった。めっちゃ虚しい。
「今日は登録だけします。…あ、あとここら辺の空いている宿は知っていますか?」
「あーそこに石藍亭と言うお店がありますが…値段が安い代わりに接客があまり宜しくないらしいのです。」
「ありがとうございます。」
普通悪評の所紹介する?!
いや、まぁ確かに空いていそうだけど!
ギルドを出て紹介された宿に向かうとそこにあったのは普通の建物だった。
そう、普通の。
なのに、
(なんだ…何か見落としたか?)
別に、違和感のない普通の建物のはずなのに。
いや、こう言う時こそ第三者の声を聞くべきだろう。
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『何か変じゃない?』
何が?
普通じゃね?
感覚的に?
どこがだよ
お年頃?
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前言撤回。全然役に立たなかったが。
(視覚的な物じゃない?いや、絶対に視覚的に見えた物のはずだ。)
黒いベンチ
赤い看板
白い柵
緑の芝生の庭
庭に置かれた黄色の木のバケツ
白い建物に巻き付く
「…何がおかしいかわかんねぇけど入るしかねぇか。」
敷地に入り扉を開けると鈴が鳴り響いた。
中は3階建ての建物らしく階段が設置してありとても住みやすそうな場所だった。
「はーい。今伺いますね!」
廊下から声が聞こえる。とても接客が悪そうには見えないんだが…
ここの従業員と思わしき薔薇の香りがした女性はとてもいい笑顔で話しかけてくれた。
「お泊まりですか?お食事ですか?」
「お泊まりです。五日ほどなんですが。延長もできますか?」
「ええ!もちろんです。お食事はつけますか?」
「はい。朝だけお願いします。」
宿代と朝食代を払い外に出る。どこが接客があまりよろしくないのだろうか?
まぁ、それは置いといて。
「冒険者ギルドに行こう!金を稼がないと!」
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夢もへったくれもねぇ
最後で台無しだよ
ここで正式な冒険者ギルドを観れるのか…
まるで正式じゃない冒険者ギルドがあったかのような…
あれは忘れよう。不幸な事故やった。
ま、あれは相手の態度が悪かったんだしね
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