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「助けてくれてありがとう。俺らは『銀の盾』。あちらが俺らの依頼主だ。」

「あ、ありがとうございます!」

物陰から一人の老人が出てくる。どうやら彼らは行商人の護衛をしていた所、襲撃されたらしい。

「いえ、助けて当然のことですから。」

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『こいつ鑑定しても正常ってなんなん?』

サイコパス

それしかないだろ

w

もうあの犯行がバレてるってことだろ

ほんと見てて飽きひんわ

銀の盾…

金にしとけや

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金だと柔らかいだろうが。

そんなこんなで一緒に街までいくことになった。

「俺の名前はヘラザ。『銀の盾』のリーダーだ。…なぁ、あんた。依頼主に何したんだ?めっちゃ中悪そうだけど。」

「残念だけどマジでわかんない。」

その後の彼からの目はとても心に刺さる物だった。

..

.

そして、翌朝。

行商人と話している護衛対象から少し離れて『銀の盾』と一緒に歩く。

『銀の盾』と一緒に目的地まで行く事になった。

彼らと話ながらコメントを見ていると、どうやら視聴者からの反応だとこの雰囲気がとても異世界らしくていいらしい。あと日本の異世界ものが大いにバズりにバズってちょっとした好景気らしい。なんと言ったらいいのか…

「へぇ、それじゃあカグヤ姫は月に帰ったって言うわけか。」

「なんだか男達の醜さが描かれていたな…」

は、ハハッと今の自分には苦笑いしかできない。

まぁ、一人の女性のために取り合うなんてこちらの世界でもよくありそうだしね。

「君たちの知っているお話とかない?聞いてみたいんだけど…」

ヘラザは顎に手を当てて考えている。

少しすると考えがまとまったようで話を始めた。

「ん〜サテナ神話以外だと俺らが村にいた時の話とかしかないんだけど…」

「ん?待って?」

今、彼は言った。この世界の重要な情報について!

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『録画しろ。誰でもいいから記録しとくんだ!』

おけ

もうしてる

紙で記録するわ

テレビ局が今流してるで

____________________

今さりげなくとんでもないことが流れてきた気がするが一旦置いとこう。

「そのサテナ神話ってやつ、教えてくれない?神話とか親が教えてくれなかったんだよ。」

「ん?おお、いいぜ!あんまりたくさんあって覚えてねぇけど。ま、話せるだけ話すわ。」

そして彼は話始めた。

名前の無い神々について。


「まず、サテナ神話において神々が出てくるんだけどその神々は名前が無いんだよ。」

「…名前が、無い?」

「そう、だから俺らは数字とかその神が司る物で名前を呼んでいるんだ。」

…なるほど、つまりYHVHとか我らが聖なる父とかそういった類って考えたらいいのか?

「もし名前で言った事を教会にバレたら普通に罰せられたりするぞ?ちなみに狂信者とかだと殺しにくる。」

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『ふむ、どうやら日本人としての特性を発揮する時がきたようですな?』

そのスタイルは憧れるぜ!

最高

よし、新しくスレッド立ててくるわ。

とりあえず無常はその神々についての特徴を調べるんだ!

これだから日本人は…

やってんな

つか、普通名前とかつけられるもんだろ

俺らが名付け親にならないと

つまりパパになると?

ままですわよ?

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「なんで?」

「恐れ多い、って言うのもあるらしいんだけど、どうやら神の力が弱くなって顕現するって聞いたことがある。」

「…ん?なんて?」

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『お前ら、ストップ』

なるほど、やれって事だな?

そんな事ある?

いや、確かにこれって一神教の強さを誇る神々を無理やり多神教クラスにまで降格させるって事だろ?

ほんとは複数神がいるけど名前が無いおかげで一神教クラスの神でいられると言うのは理解できるんだけどさ、なんで顕現すんの?

ま、ちょっと待とっか

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「これはじいちゃんから聞いた話なんだけど、昔名前がついた神がいてそれが顕現して国を滅ぼした事があるんだって。名前がつく事で力が安定するとか。」

「けど、それがそのおかげか今じゃ教会には対神武器とか常備されているらしいぜ。だから教会は無魔法使い達のヤバい奴ばっかってわけ。」


俺は、心からこう思った。

すまん、ウチの国民がはっちゃけて忙しくなるかもしれん、と。

いや、それよりも無魔法がなんだって?

「無魔法って何ができるんだ?」

「無魔法か?それだったら俺は使えるから教えられるぞ」

「本当か!ぜひ教えてくれ。」

「じゃあまずは手を握って魔法を使ってくれ。」

そう言われて手を握る。錬金魔法で足元の石ころを錬成しようとする、が。

「で、できない…?」

「そう、無魔法の基本は対象の魔法を阻害と対魔力、そして身体能力強化だ。」


え、じゃあなに?魔法対処できないやつがゴリラとなって襲ってくるってこと?


「ちなみに、身体能力強化ってどのくらい?」

「岩を素手で砕いたり、人によっちゃ嵐の風と同じくらいで動けるぞ?」


ツッヨ


そんなことを駄弁りながら歩いていくと何か大きい建築物が見えてくる。

「おお!見えた。もう直ぐだな!」

「あれが、街?」

自分には壁、壁、壁にしか見えないんだけど…


「あれが迷宮都市、ゼリウスだ!」






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