第118話
~大志side~
翌日、3階空き教室へ集まった幹部クラスの連中に、冬流組へ乗り込む事を決めたことを伝えた。
俺は夏夢から冬流組のアジトを聞き出し、翌日にはすぐに集会を開いていた。
冬流組の人数は約2千人。
けれど、本当に腕の立つやつらはごくわずかなハズだった。
どんな人間でも組に入れているところを見ると、組を拡大することを1つの目的としているようだった。
赤旗は一番最初の被害者だったわけだ。
「今度は、俺たちも参加していいんだよな?」
あぐらをかいて座っていたキョウが、そう聞いてきた。
「あぁ、もちろん。少し危険な目を会わせるかもしれないが、みんなにも手伝ってほしいと思っている」
「聞いたか、みんな!」
今日が立ちあがり、ニッと笑う。
暴れたいのを今まで我慢していたやつらが一斉に拳を突き上げた。
「相手は本物の座身の人間だ! 武器を持っている!」
俺がそう警告を促しても、聞いているやつはいない。
「ったく。血の気のおおいやつらだな……」
俺はそう呟き、ため息を吐き出した。
でも、参戦するのはこいつらだけじゃない。
松原チームと今津チームの幹部クラスのやつらも一緒だ。
きっと、大丈夫……。
「いつ、決行だ?」
キョウが紅潮した頬で聞いてくる。
「あぁ。それなんだけどな……」
俺は、面々を見回す。
そして、夏夢から聞いた話を思い出す。
冬流組の下っ端は、毎週木曜日になると午後から夜まで街へ行くのだそうだ。
週の半ばに、自分たちの活動がどのくらい広がってきているかを確認するらしい。
そして、今日がその木曜日だった。
今日の午後には冬流組は人数が吸くなっているハズだった。
「……今日の午後だ」
「……今日だと?」
俺の言葉に、さすがにキョウの顔がこわばった。
「いくらなんでも、急すぎるだろ」
「それは俺だってよくわかってる」
俺は小さくうなづいた。
けれど来週に持ち越せば、その分被害者は増えていく。
どうしても、俺はそれを黙って見ていることができないんだ。
「木曜の午後、冬流組は隙がでる。そこを狙う予定だ」
「……本気なんだな?」
「あぁ。来週まで待ってられない」
「そうか、わかった」
キョウが納得すると、再び教室内に歓声がわいたのだった。
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