第107話
~夏夢side~
最近、街でこそこそ噂されている【非道の赤旗】。
その赤旗チームを率いているのが、俺、赤旗夏夢(アカハタ ナツム)だった。
俺は薄暗い部屋の中、黒いソファに身を沈めた。
もう、ダメだ。
赤旗は大きくなりすぎた。
正直、俺の手には負えない。
昔は仲良くしていたカナタも、いまでは浜中へ寝返っている。
今日も、こそこそと電話をかけに出て行った。
きっと、こっちの情報を横流しするために。
でも、俺はそれを知っていてもカナタを止める気はなかった。
1度周囲の人間にバレでヤキを入れられたらしいが、それは俺の支持ではない。
もっと……。
赤旗を飲み込もうとしている、大きな組織の連中が勝手にやったことだった。
やつらは卑怯で、俺の名前を使って暴れまわっている。
そんな連中を信じてついて行ってしまって俺にも、十分に非がある。
だから、世間からどんな目で見られようとそれを受け入れるつもりだった。
「ふぅ……」
と、息を吐き出して目を閉じる。
どうしてこうなってしまったのだろう?
こんなことがしたかったワケじゃない。
ただ、同じ悩みを抱えている者同士が支えあえればいいと思って、仲間を集めただけなのに……。
「夏夢、大丈夫か?」
俺の側近である境新(サカイ アラタ)が心配そうに俺の顔を覗き込む。
「新……」
「ちょっと、頑張りすぎじゃないか?」
「俺は、なにもしちゃいない」
「そんなことはない。お前は上の連中のやりすぎた行動のしりぬぐいを、ずっとしてきてるだろ」
そう言って、新が俺の頬を優しくなでた。
この暖かな手が、俺は大好きだ。
俺は思わず、新の胸に顔をうずめていた。
「ずっと、こうしていられればいいのにな」
「あぁ」
ずっと、お前と2人で……。
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