第105話
~大志side~
日曜日の昼。
俺はテレビ局がどのように注意を促しているのか、テレビを見て確認していた。
警察の見周りの強化。
詐欺や薬物を禁止するビラ配り。
様々な活動をしてくれているようだった。
これで、街の人々の警戒心が強まり、赤旗の動きを抑制する結果になることが、俺の狙いだった。
「なかなか大々的だな」
この土日を使い、警察のパレードまで行われた様子だ。
テレビを見ていると、携帯電話がなった。
画面には【強】の文字。
「もしもし?」
《大志か? 俺だ》
「あぁ。どうした?」
《今、千沙ちゃんからちょっとおもしろい赤旗の情報をもらった》
「千沙から?」
千沙が赤旗の情報を持っている?
一体、どういうことだ?
まさか、また1人で行動しているんじゃないだろうな。
そう心配になった時、強が《誘拐されたときに、違和感を覚えたそうだ》と、言ってきた。
「なんだって?」
《実はな……》
強が、一通り俺に説明してくれた。
俺は話を聞いているうちに、徐々に眉間にシワが寄って来た。
赤旗は、女が苦手……?
まさか、そんなことがあるか?
《ちょっと、調べてみてもいいんじゃないか?》
「あぁ。一応はカナタに連絡をとってみるよ。サンキュな、強」
そう言って、俺は電話を切った。
本当は半信半疑のままだったが、きっと千沙が俺を心配して思い出してくれたことだ。
ないがしろにする気はなかった。
俺はすぐにカナタに電話を入れた。
しかし、しばらく鳴らしていても通じない。
不意に、カナタの体中の痣を思い出し、俺は電話を切った。
着信だけは残したから、気がついたらまた連絡をしてくれるだろう。
それから数分後。
テレビを見ているとカナタから着信があった。
すぐに電話に出る。
「もしもし?」
《もしもし。すみません、電話とれなくて》
少し声量を落としたカナタの声が聞こえてきた。
「お前、今どこにいる?」
もし、赤旗のアジトにいるとしたら危険だ。
《今外に出たところです》
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