第99話
~大志side~
俺になにかを言いかけた千沙が、真っ赤になって教室へと走って行く。
一体、なんだったんだ?
そう思い、首をかしげる。
でもまぁ、あれだけ元気があるなら大丈夫だろう。
福元がずっと一緒にいてくれているのが、支えになってるのかもしれない。
「さて、俺も教室行くか」
といっても、行くの空き教室だけどな。
授業は出なくても、テストで点数を出せば問題ない。
少し眠ろうと思い、俺はあくびをかみ殺したのだった。
☆☆☆
そして、その日の夕方。
一旦家に戻った俺は、すぐにクローゼットから特攻服を取り出した。
この姿で親の車に乗るのは少しためらわれたが、久しぶりの集会で特攻服なしというのは寂しい気がした。
それに、俺の復活を待ってくれていたメンバーたちの期待にもこたえたかった。
特攻服をはおって一階へ下りていくと、母親が呆れたようなため息を吐き出した。
なにかいいかけた口をいったん閉じて、そして「なかなか似合うのね」と、笑った。
「あぁ。だろ?」
なんだかんだ言って、目をつむってくれている親には感謝しないとな。
「何時に迎えにいけばいいの?」
「集会は2時間ほどで終わると思う」
「そう。それで……千沙ちゃんとは会えた?」
「……あぁ。会えたよ」
俺はそう答え、顔の赤くなった千沙を思い出していた。
本当、なんだったんだろうな、あいつ……。
☆☆☆
その後、ライブハウスについたとき、チームのメンバーたちはすでに全員集まっていた。
やる気のある奴らばかりで、本当に助かるな。
「サンキュ。終わったら連絡する」
俺は母親にそう声をかけて車を下りると、足早に会場へと向かった。
そして、会場に入った瞬間……。
眩しいスポットライトがあたり、俺は目を細めた。
つぎに、歓声と拍手が沸き起こる。
なんだ、これは!?
驚いて立ちつくしていると、力耶と強が大きな花束を持って現れた。
「退院おめでとう、大志!!」
そう言い、色とりどりの花を俺に渡してくる2人。
ははっ……まじかよ。
まるで何かの盛大なペーティーのような光景に、俺は苦笑する。
退院祝いって、こんなに豪華にやるもんか?
少し照れくささを感じながらもステージに立つ。
こうして沢山のメンバーを見るのも、久しぶりだ。
赤旗と戦い、ケガをしている連中もチラホラみえる。
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