第67話
大志たちは、一体この街のなにを警戒しているんだろう?
疑問に感じながらも、キョロキョロとあたりを見回し、赤旗に関する情報をどうやって集めようかと考える。
と、その時。
後ろから「おい」と、低い男の声で声をかけられて、あたしは一瞬ビクッと身を縮めた。
振り返ると、そこには力耶がムスッとした表情で立っていた。
「あ……力耶……」
「お前、ここで一体なにしてる?」
「あたしは……その……」
モゴモゴと口ごもり、最後には黙り込んでしまった。
素直に話したほうがいいかな?
でも、何も得られないまま帰らされるのも嫌だし。
そんな事を思っていると、力耶が大きなため息を吐き出した。
「本当に世話のやける女だな、お前は」
「え……?」
「どうせ、俺たちが何か隠しているのか知りたくて、ここまで来たんだろ」
う……。
図星を当てられて、反論する余地がない。
「行動力だけは褒めてやる。でも、今回はやりすぎだ」
そう言い、力耶がコツンッとあたしの頭を叩いた。
「……ごめんなさい……」
やっぱり、無謀だったのかな。
恋羽に引き留められたときに、ちゃんと話をきいておけばよかったのかな。
気持ちは、どんどんしぼんでいく。
しかし……。
「お前が、それほど大志を心配していることはよくわかった。それに、大志もお前にちゃんと説明すべきじゃないかって、思ってた」
「へ……?」
あたしは、目をパチクリさせて力耶を見る。
「お前に、ちゃんと赤旗のことを説明してやる。時間はあるんだろうな?」
「も、もちろん!」
予想していなかった展開に、嬉しくなって、あたしは大きく頷いたのだった。
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