第37話

~千沙side~


集会の翌日は創立記念日で休校日だった。



あたしはベッドの上にゴロンっと横になり、天井を見上げる。



昨日の集会で、大志はあたしに説明したことと同じ事を言っていた。



でも……。



「なにか、隠しているような気がする……」



つぶやき、寝がえりをうつ。



元々隠し事の多い大志だけれど、今回は特に厳重に、そして年密に嘘を重ねているように感じられた。



「いつもなら、アツシをおだてたらすぐに全部話してくれるのに、今回はアツシも口が堅いしなぁ」



昨日の集会のことは、1年生のおかげでようやく聞き出せた情報だもん。



でも、大志のことだからすでに1年生が口を割らないように手を打っているにちがいない。



「どうしよう……」



寝がえりをうち、親指の爪をかむ。



大志が何を隠しているのか知りたい。



でも、それを知る手だてがない。



大志とは幼稚園時代からずっと一緒にいるのに、大志はあたしをチームには入れてくれない。



女だからダメだとか、そういうんじゃなくて。



最初からあたしを相手にしていないような雰囲気なんだ。



それが、あたしには納得のいかないことだった。



あたしは、自分がチームの役に立てる存在だなんて、考えていない。



でも、大志のまわりに人が集まっているから、その中に入りたいと願ってしまう。



また、カリッと爪を噛んだとき、隣の家から話声が聞こえてきた。



起き上がって窓の外を見ると、大志の部屋に人影が見えた。



「あれって……今津と松原……?」



あたしは薄いカーテン越しの人影に眉をよせた。



また、あいつらが大志の部屋にいるの?



昨日集会をしたばかりなのに、どうして?



そんなに、頻繁に会う必要があるとは思えない。

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