第27話
傘も持ってきていないし、会場内以外に雨宿りできる場所も見当たらない。
来た道を少し戻ればコンビニがあるけれど、そうこうしている間に集会も始まってしまう。
「ちょっと千沙、今日はもう諦めて帰ろうよ!」
「で、でも……」
雨はどんどん強くなり、風も吹き始めた。
完全なスコールだ。
そう言えば台風が接近していると、昨日からニュースでやっていたっけ。
どうしようもなくその場に立ち尽くしていると、「おい」と、後ろから声をかけられた。
その瞬間、あたしたち2人は「「ひゃっ!?」」と、小さく悲鳴を上げた。
すぐに振り返ると、そこには傘も持たず仁王立ちしている特攻服姿の大志がいた。
「た……大志、なんでここにいるの!?」
「それはこっちのセリフだ。どうしてお前たちがここにいるんだ」
目を細め、低い声でそう言う大志は明らかに怒っている。
ど、どうしよう……。
あたしはチラっと恋羽の方を見るけれど、恋羽は小声で「あたしのせいじゃないからね」と、言ってきた。
それは、そうだけれど……。
雨は更に強くなり、あたしは何も言えないまま地面に視線を落としたのだった。
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