第25話

~千沙side~


あたしはジーパンとTシャツ姿で鏡の前に立った。



「ちょっと出かけてくるって、格好っぽい?」



「っぽいぽい」



放課後うちに来てから一緒に夕飯を食べた恋羽が、うんうんとうなづく。



「恋羽は、制服でいいの? 服、貸すよ?」



「大丈夫だよ。制服のリボンはずしちゃえば制服ってバレないでしょ」



そう言ってペロッと舌をだす恋羽。



絶対に制服だってバレちゃうと思う。



「補導されたら集会いけないじゃん」



あたしはそう言いながら、恋羽に薄いピンク色のトップスと白いスカートを投げた。



恋羽はしぶしぶそれに着替えながらも、不服そうな表情をしている。



普段から黒系の服しか着ないから、ピンクや白が嫌みたいだ。



「ピンクが似合うのは千沙みたいに可愛い子だけなんだよ、知ってる?」



「はぁ? 何言ってるの、あたしが可愛いワケないでしょ」



「千沙、それ本気で言ってる? 天然?」



「わけわかんないこと言ってないで。着替えたら行くよ?」



時刻は夜8時前。



集会所まで歩いて30分くらいはかかるから、そろそろ行かなきゃ。



「でもさ。あたしたちが混ざってるって知ったら大志君怒るだろうねぇ」



「怒ってもほっておけばいいわよ。なにも教えてくれない大志が悪いんだから」



そう言って、あたしは部屋を出た。




恋羽もあたしの後に続きながら、



「教えないのが優しさなんだってば。もぉ~なんで千沙には伝わらないのかなぁ」



と、ため息を吐き出したのだった。

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