第24話

その言葉を合図にしたように、みんながいっせいに女を取り囲んだ。



「あ、兄貴……っ」



「なんだ、大志」



「あ、相手は女だから……その……」



「なんだお前、こいつの心配する暇がありゃぁ、自分の手当てでもしてろ」



そう言うと、兄貴は仲間と女を引き連れて、家を出てしまった。



だから、俺はその後どんなことがあったのか、わからない。



でも……。



その数ヶ月後。



以前会った時の冷たさを感じなくなった女と、偶然街中で会った。



「あの時は、ごめんなさい。あたし、どうかしてたわ」



と、暖かな雰囲気で女は言った。



俺はてっきり、兄貴たちが女にも容赦ないのだと思っていたけれど、それは違った。



どうやって更生させたのかわからないけれど、「今の自分が好き」と、胸を張って言えるようになった女を見て、俺は新ためて兄貴の偉大さに気がついた。



そして、このときはっきりと『浜中』のトップに立つと、俺はそう決心したんだ……。

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