第20話

~大志side~


チームの下っ端の1年生に千沙の送りを任せた俺は、その足で3階の空き教室へ来ていた。



今日は浜中、今津、松原の3つのグループが合体したことを、チームの全員に正式に発表する集会がある。



もちろん、合併するという噂はあっという間に広まっていたが、俺たちトップが正式に発表するまでは、ほとんどの仲間たちがその話題に触れていない。



「大志、とうとう今夜だな」



キョウがそう言い、俺の隣に座った。



「あぁ」



「多少の反乱は覚悟してんだろ?」



「当たり前だろ。特に、血の気の多い奴らには気をつけておかないと、仲間同士で喧嘩し始めるかもしれない」



「その辺は、俺らに任せとけよ。ちょっと乱暴に押さえつけてもいいんだろ?」



「今日のところはやむ終えないな。無茶はするなよ」



「了解、総長」



キョウはニヤッといやらしい笑顔を浮かべた。



俺はフンッと小さく鼻をならし、そして千沙の作ってくれたミサンガを見た。



「無駄な喧嘩はしたくねぇな……」

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