第19話

そう聞くと、男子生徒は空に視線を泳がせて「そうっすねぇ……」と、頭をかいた。



「実は、今日の夜集会があるんですよね」



「集会?」



「はい。3つのグループが初めて1つの場所に集まるんです」



「それ、どこ?」



「松原の実家が経営してるライブハウスです。一度に千人ほど入れるでっかい会場なんっすよ」



ライブハウスか。



東地区に大きなイベント会場があることは有名だった。



おそらく、あそこで間違いないだろう。



「今日、何時から?」



「夜8時半っす」



「いろいろ教えてくれてありがと、じゃ、あたしの家ここだから。恋羽、うちよってく?」



「そうだね、久しぶりに千沙の部屋にお邪魔させてもらおうかな」



「じゃぁね、送ってくれてありがとう!」



そう言って手を振ると、1年生の男子生徒は上機嫌で手を振り返してきたのだった。

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