第18話
☆☆☆
奇妙な3人で帰り道を歩いている最中、1年生の男子は落着かないようにキョロキョロと辺り
を見回し始めた。
「ねぇ、何をそんなに気にしているの?」
「なんでもないです、千沙さんは気にしないでください!」
『気にしないでください』と言われたって、あからさまに周囲を警戒しているのを見たら、誰だって気になってしまうだろう。
「大志が今朝言ってた、変な男がまたいるかもしれないの?」
あたしがそう言うと、1年生の男子はギョッとしたようにこちらを見て
「ち、違います!」
と、ブンブンと首を左右にふった。
その行動はあからさまにおかしくて、あたしと恋羽は目を見かわせた。
「ねぇ、昨日から見かける私服の男は一体何者なの? どうして、そんなに警戒しているの?」
「お、俺は詳しい話は知りません!!」
そう言うと、口をキュッと結んで黙り込んでしまった。
「怪しいよね、絶対に」
「うん。大志くん、何か隠してるね」
「今津と松原が合体したのと、なにか理由があるのかな?」
「でも、それはチームの下っ端を束ねるためだって大志くん言ってたんでしょう?」
「そうだけど……」
あたしは、眉間にシワを寄せる。
「そんな険しい顔して、どうしたの千沙」
「だって、あたしにいちいちチームの話をする事がおかしいもの。
絶対に、3つのチームが1つになったのには裏があると思うの」
「そうなのかなぁ? 千沙の考えすぎじゃないの?」
恋羽はピンとこないようで、首をかしげている。
でも、あたしには大志が何か隠しているようにしか見えないんだ。
長く一緒にいた勘ってやつ。
「ねぇ、君。その辺の事情は知らないの?」
あたしは、黙っていた1年生にそう声をかけた。
不意に声をかけられた彼は「えっ……俺は、なにもっ」と、困ったように顔をゆがませた。
「本当に? 下っ端っていっても君もチームの一員でしょ?
それに、今日はこうして大志に頼まれてあたしを守ってくれているんだもん。
ゆくゆくは幹部クラス?」
そう言って、1年生の肩をツンッとつつく。
「か、幹部クラスなんて、そんなっ」
謙遜しながらも、男子生徒の頬は赤くそまり、頬が緩んだ。
「ねぇ、本当は少しくらいなにか知っているんでしょう?」
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